□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月26日第191号 ■ ========================================================= 河野・村山談話を「貴重な政治遺産」だと書いた倉重篤郎 ========================================================= 貴重な論説をきょう2月26日の毎日新聞に見つけたのでぜひとも読者と共有したいと思って書いている。 その論評は倉重篤郎専門編集委員が「水説」で書いている先般の村山元首相の韓国講演に対する評価についてである。 倉重氏はまず訪韓にあたって村山元首相が周到な準備と戦略を持っていた事を次のように書いている。 すなわち招待元の韓国国会議員団に対し、あなたがたが期待するような話は出来ませんよと条件を付け、「それで結構です」と相手側に認めさせている。 それにもかかわらず事前に送った講演要旨に韓国側から一部手直しの注文がついたので「それでは訪韓できない」と断り、韓国側から「今後は何も注文をつけません」と譲歩させたという。 その一方で菅官房長官に電話を入れ、安倍政権が村山談話を継承するという姿勢を改めて確認した上で出発したという。 この裏話を知って私は2月13日のメルマガ第148号「村山談話は継承されていると断言した村山元首相の殊勲」の中で書いた見事な外交振りが本物であった事を知った。 私はあのメルマガで「本人にその認識があったかどうかはわからない」と失礼な事を書いたが、ここまでの周到な準備と戦略があったのだ。 この裏話を村山元首相から直接聞いた倉重氏は、さらにまた村山氏が講演の中で日本が苦心して作ったアジア女性基金が韓国で理解を得られず残念だったと話した事に対し、「反応は悪くなかった」、「韓国の各党代表との懇談では、こもごも日韓関係を重視する発言を聞くことができた」という話を村山元首相から聞き出している。 そして、ここからが私がこのメルマガで紹介したいことであるが、倉重氏はこう述べているのである。 「この話を村山氏から聞いて、日韓関係の打開は、河野・村山談話をベースにやっていくのが最も賢明だ、と改めて感じた・・・むしろ両談話は貴重な政治資産だと思う・・・いまだ戦後処理の過程にある日本政治には、踏み込んだ反省と謝罪がなお不可欠だ。それがあって初めて、集団的自衛権、改憲論議が成立する側面もあろう。なぜ活用しないのか」、と。 河野談話の見直しが叫ばれる中、これは安倍政権に対する強烈な諫言である。 私は集団的自衛権行使容認も改憲も不必要であると思っているが、これらの言葉を「韓国の行き過ぎた日本批判に対する正しく、力強い反論が成立する」という言葉に置き換えるとすれば、まさしく私が主張してきたことである。 惜しむらくは、村山元首相は帰国後、もっと自信を持って、この倉重専門委員が「水説」で書いている事を自ら語り、実践すべきである。 倉重編集専門委員一人の論説にとどめておくにはもったいない村山元首相の見事な外交だったという事である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)