□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月23日第184号 ■ ========================================================= 間違った反ユダヤ主義ほど有害なものはない ========================================================= 東京都内の公立図書館が所蔵する「アンネの日記」やユダヤに関する書籍が何者かによって大量に毀損されるという事件が起きた。 誰が、何の目的で、そのような事をしたか不明な中で、とやかく言うことは控えるべきだが、私が直感的に思ったのは、ついに日本でも反ユダヤ主義が表出してきたか、ということである。 反ユダヤ主義とは、一言で言えばユダヤ人およびユダヤ教に対する差別思想である。 欧州では反ユダヤ主義は大きな政治問題であり続けた。 しかし宗教的にも歴史的にも関係が薄い日本では、それが日常の生活の中で表面化することはなかったと言っていいだろう。 ついに図書の破棄という形で日本にも反ユダヤ主義があらわれたということである。 しかし間違った反ユダヤ主義こそ有害なものはない。 私がここでいう有害とは、このような軽率な反ユダヤ主義が、過剰に批判されるために、正しいイスラエル批判が出来なくなるという意味である。 イスラエルは1948年に建国以来、パレスチナ人を徹底的に弾圧、排除してきた。 その非人道的な政策は、なぜナチスの虐殺を経験したユダヤ人が、ここまでパレスチナ人を虐殺できるのかと言われるほど非道なものである。 ユダヤ人を救ったあの杉原千畝夫人をして、こんな事になるのなら夫のしたことが正しかったのかと思うことすらある、とまで言わしめたほどだ。 いまのイスラエルがパレスチナに対して行っている政策は、正しく批判されなければいけない。 その批判を反ユダヤ主義とひとくくりにされて批判されてしまう。 私などもたちまち反ユダヤ主義とよばれて批判される。 冗談じゃない、という思いだ。 今回の図書破棄事件は、そのような批判の口実にされかねない有害な反ユダヤ主義になりかねない事件である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)