□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月23日第185号 ■ ========================================================= 中国とイスラエルの急接近を指摘した「太郎の国際通信」 ========================================================= きょう2月23日の東京新聞の連載コラム「太郎の国際通信」で、ジャーナリストの木村太郎氏が重要な事を書いている。 すなわちイスラエルのハーレツ紙電子版の2月14日付の記事によれば、イスラエル南部の紅海に面した都市エイラートから地中海沿岸のアシュドッド間約300キロを結ぶ新しい鉄道の建設工事が、1年以内に始まるという。 太郎氏はこれをイスラエルにとっての第二のスエズ運河だと書く。 すなわち、1967年の第三次中東戦争でスエズ運河が閉鎖されて経済的に大きな打撃を受けた反省から、イスラエルはイスラム過激派のテロに備えたのだと書いている。 そして木村氏は、その後に続く次のような記事に注目したという。 すなわち、この計画は、中国との関係を発展させることにもなるというのだ。 この鉄道建設計画は、2012年7月にカッツ運輸相が中国を訪問した際、中国とイスラエルの共同事業として行う事が合意され、建設資金の一部を中国の開発工業銀行が融資するものだという。建設工事そのものにも中国の高速鉄道建設事業者が参加するという。 そして木村氏は次のように書いている。 中国は、イスラエルを敵視するイランやアラブ諸国との友好関係を重視する外交を展開しているので、このイスラエルへの急接近は意外と思ったが、中国は欧州連合の最大の貿易相手国であり、欧州大陸との貿易路を確保することは重要である。また中国はイスラエルの最新技術、特に軍事技術の移入に熱心である。だからイスラエルとの関係強化に乗り出したのもうなずけると。 意外でも何でもない。 中国はイランやアラブとの友好関係を維持しつつ、同時にイスラエルとの関係を深めてきた。すべては自国の国益最優先であり、そのためには常に外交を使い分けてきたのだ。 中国はイランやアラブとの友好関係を維持しつつ、イスラエルのパエレスチナ政策に強く反対する事はない。その事に対してイランやアラブが中国に文句を言う事もない。言わせないように外交的に配慮してきた。人権問題に目をつむりシリアのアサド政権を支え続けるのも中国の国益のためだ。そしてその事を批判する国はない。 木村氏はそのコラムを次の言葉で締めくくっている。 「いずれにせよ、中国の抜け目のない、したたかな外交の現実を見た思いがしたものだが、日本は何をしていたのだろうか」 この点については100%同感だ。 イスラエルを味方につけた中国は米国との関係でも日本よりはるかに強い立場にある。 日米同盟一辺倒の日本外交では中国の対米外交の足元にも及ばないということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)