□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月22日第180号 ■ ========================================================= はじめから政治決着しかなかったTPP交渉 ========================================================= もはやTPPめぐる日米交渉は4月のオバマ大統領の訪日時にオバマ大統領と安倍首相の政治決断で決着するしかない。 ついにそう報道されるようになった。 シンガポール閣僚交渉の際に、フロマン米USTR代表と甘利TPP担当大臣との間で合意できなければそうなるだろう。 安倍首相にとっては最悪のシナリオだ。 そしてその事はすでにこれまでの交渉で明らかだった。 そもそもTPP交渉はオバマ大統領から全権を委任されたフロマン代表がすべての権限を握り、米国議会との関係で一歩も譲れない国内事情を受けての交渉であった。 一方の日本といえば、交渉の最終段階に来て全農JAなどの国内政治圧力に屈して例外品目にこだわり、これ以上一歩も譲れない状況にみずからを追い込んだ。 この時点で政治決着しかなくなったのだ。 もはや官僚レベルの交渉は無意味になったのだ。 その事を見事にあらわしている記事をきょう2月22日の東京新聞に見つけた。 日米交渉の事務レベル協議を担うのは外務省の大手博首席交渉官代理だ。 その大江氏のカウンターパートは米国のUSTR次席代表であるカトラー氏であるという。 そしてそのカトラー氏と大江氏は大江氏のワシントン勤務時代から20年近く親交があり、おまけにカトラー氏は日本の立場に理解があるとされているという。 これ以上ない最善の事務レベル交渉コンビである。 ところがカトラー氏はフロマン代表がすべてを決めるから交渉権限は何もない。 一方の大江氏も甘利大臣から「一方的な譲歩はするな」という指示を受けているから解決の糸口を見つけることは出来ない。 大江氏とカトラー氏は、互いに「こんな役職に就いちゃって、ついてないね」と愚痴を漏らし合っているという。 これではとても駄目だ。 しかもフロマン代表と甘利大臣の間の話し合いも進展はない。 4月のオバマ大統領の訪日の際に、オバマ・安倍首脳会談で政治決着するしか解決の道はなくなったtろいうことだ。 しかしその場合、答は見えている。 安倍首相がオバマ大統領の要求に全面譲歩するしかない。 だから私は書いて来た。 去年の3月に安倍首相がTPP交渉参加を政治決断した時点でTPP交渉は終わったと。 どんなに米国が理不尽な要求を突き付けてきても、日本はそれを受け入れるしかない、と。 多くの日時の、経費と、官僚を使って繰り返してきたこの一年間のTPP交渉は、壮大なセレモニーでしかなかったということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)