□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月21日第177号 ■ ========================================================= 安倍首相の解釈改憲に反対しない事だけが求められる法制局長官 ========================================================= 外務官僚の小松一郎氏が駐仏大使から内閣法制局長官に抜擢された時、これは安倍首相が内閣法制局長官を使って解釈改憲を認めさせようとする人事であると報道された。 その時私は決してそうではないと書いた。 すなわち小松内閣法制局長官に期待される唯一の役割は、解釈改憲は出来ないと言って足を引っ張る事だけはしないという役割だけなのだ。 そしてその事は連日の国会答弁で見事に証明された。 気の毒な事ではあるが小松氏は体調を崩して、肝心の集団的自衛権行使容認の国会質疑が始まったというのに答弁に立つことができない。 しかし安倍首相は何の痛痒も感じないかのごとく連日答弁している。 すなわち憲法9条の解釈を最終的に判断するのは国民の信認を得た政権政党の首相である自分だと大見得を切った。 そして国際情勢が大きく変わりつつある中で集団的自衛権の行使容認を可能にする憲法9条の解釈改憲は必要だと持論を展開してはばからない。 その一方で、きょう2月21日の朝日新聞は、元内閣法制局長官の阪田雅裕弁護士が国会内で開かれた超党派議員の勉強会で講演し、安倍首相が解釈改憲を目指している事について「大変不当だ。法治国家の大原則に違反する」と強く批判したと報じている。 もはや弁護士となった阪田氏が何を言っても安倍首相は、それは一弁護士の意見だといって一蹴できる。 しかし現職の内閣法制局長官が国会で解釈改憲は認められないと言えばさすがの安倍首相もその意見を一蹴はできない。 内閣法制局長官を、自分の意見と違うからと言って更迭するなら批判を浴びる。 小松氏の前の歴代内閣法制局長官は、いずれも内閣法制局の伝統を重視し解釈改憲反対の立場だ。 まさしく安倍首相が考えたのは、そのような内閣法制局長官では不都合だったのだ。 賛成してくれる必要はない。 解釈するのは首相である自分だ。 その首相の自分の解釈改憲論を、国会の場で反対だけはしてくれるな。 それのみが小松氏に期待された役割であったということだ。 健康を回復して来週にも小松氏は職務に復帰するという。 喜ばしいことだ。 集団的自衛権の国会審議はさらに続く。 復帰した小松内閣法制局長官は果たしてどのような答弁をするのだろうか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)