□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月21日第176号 ■ ========================================================= 北方領土返還要求の断念をほのめかした森元首相の発言 ========================================================= 森元首相が2月20日に福岡市の講演でとんでもない発言をした。 浅田選手は大事な時に必ず転ぶ、と発言したことではない。 その発言もこころない失言であるが、自他ともに専権事項とみなされている北方領土問題でとんでもない事を口にしたのだ。 きょう2月21日の産経新聞が報じている。 「何が何でも4島返還ではなく、どうしてもロシアが返せないなら特区の形で、両国が経営していくやり方もある」と発言したという。 こんなことが許されるなら歴代首相はとっくの昔にソ連やロシアにそれを提案していたはずだ。 数ある領土問題の中でも、北方領土問題は日本の領有権が法的にも歴史的にも日本に帰属している事が明白であるからこそ日本政府はこれまで4島一括返還という筋を通してきたのだ。 2島返還や面積による分割返還案が出ては消えるのも、それらが4島返還という原則を放棄する事になるからだ。 歴代の内閣も外務省も、「北方領土問題解決の進展」という手柄は欲しいが、この原則は譲れないから4島返還要求の建前を崩さなかったのだ。 ところがその領有権を棚上げして一気に共同経営にすると言い出した。 驚くべきは、その「具体的な案を、両方の外務省が必死にまとめている」と明らかにしたことだ。 「安定した東アジアをつくるため、日本が遠慮してでもロシアとしっかり手を組む政治決断をすべきだ」と譲歩をほのめかし、問題が解決されれば「戦後処理の最大の成果だ」と手柄を語ったところだ。 これは外交に行き詰まった安倍首相に対する森元首相のこの上ない援護射撃だ。 北方領土問題の解決を一人の首相の手柄のために私物化し、優先する。 それでプーチン大統領との合意ができるのならそれは大きな政治決断だ。 あとは国民の評価にゆだねればいい。 しかしそんな確約を森元首相がプーチン大統領から得ているとはとても思えない。 プーチン大統領がそんな確約をするはずがない。 プーチンに利用されて終わる。 この森元首相の福岡市での講演発言は、国会で徹底審議されなければならないもう一つの安倍外交の裏工作外交である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)