Foomii(フーミー)

天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

石原信雄元官房副長官の慰安婦問題に関する国会証言の衝撃
無料記事

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2014年2月21日第175号 ■     =========================================================    石原信雄元官房副長官の慰安婦問題に関する国会証言の衝撃     =========================================================  これには心底驚いた。  石原信雄元官房副長官が20日の衆院予算委員会で参考人として出席し、裏付け調査のないままに慰安婦募集の強制性を認めた河野談話を作成・発表したと証言したことである。  なぜ驚いたか。  それはこの証言が間違いだからだ。  裏付け調査の確たる証拠がなかった事はその通りだろう。その事はすでに当時の多くの政府関係者も認めている。  しかし、さまざまな状況証拠を総合して慰安婦事業の強制性は否定できないと当時の政府関係者が判断し、その判断に基づいて河野談話を作成・発表したのだ。  もちろんそれを了承したのはその時の事務方の最高責任者である石原官房副長官である。  石原証言のもう一つの重大な誤りは、河野談話で政治決着することで日韓両政府は合意したのに、ここにきて韓国政府がその政治決着を一方的に破って日本を批判し始めたと批判した事である。  これは事実誤認だ。さもなければ意図的な安倍政権擁護だ。  そもそも韓国側が慰安婦に対する個別補償を強く求めるようになったのは、韓国最高裁の判決が韓国政府にそれを要請したからだ。  これは河野談話を合意した以降の大きな事情変更である。  だからこそ韓国政府は日本に対し対応策の協議を申し入れてきたのだ。  日韓両政府が話し合ってあらたな対応策を見出したいというのが当時の韓国側の申し入れであり、それは今も変わらない。  その協議申し入れを日本政府は一顧だにしなかった。  あまけに安倍首相は河野談話を否定し、見直すと言い出した。  韓国の反発が激しくなったのはそこからだ。  約束をやぶろうとしているのは日本の方なのだ。  あとは日韓双方の非難の応酬である。  その事を石原氏が知らないはずがない。  史実の一部だけを切り取ってひたすら河野談話の否定に走る産経新聞の尻馬に乗り、ここまで無責任な国会証言をする石原元官房長官に驚かざるを得ない。  石原元官房長官は、私が内閣安全保障会議事務局に課長級の審議官として外務省から出向していた時の官房副長官だ。 自治省の事務次官を経て1987年から 1995年の竹下内閣から村山内閣に至る7つの内閣で官房副長官を務めた官僚の中の官僚と言われた人物だ。  その石原氏が産経新聞と組んで国会証言し、河野談話見直しを勢いづかせるような証言をした。  官僚中の官僚だなどとおだて上げられた石原氏は、官僚らしからぬ軽率な官僚だったとおいうことだ。  おそらく当時の官僚たちはみな同様の驚きを持って受け止めているだろう。  問題はこの石原証言の後の今後の安倍首相の動きだ。  もし安倍首相がこの石原証言に意を強くして橋下徹のように事実究明が大事だなどと慰安婦問題の否定につながるような動きを見せたら、今度こそ米国は安倍おろしに動く。  慰安婦問題は何も韓国だけの話ではない。  インドネシアにおけるオランダ女性の慰安婦強制徴用(スラマン事件)があり、これは国際軍事裁判において有罪判決が下されている。  日本は世界からナチスドイツと同じ危険国家とみなされて孤立することになる。  石原氏の国会証言は国益を損なう行為である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

2009年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年9月19日に利用を開始した場合、2024年9月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年10月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する