□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月19日第170号 ■ ========================================================= みずほ暴力団融資問題の本質を語る元検事に違和感を覚える ========================================================= 2月17日の朝日新聞「私の視点」で、今は弁護士になっている宗像紀夫元東京地検特捜部長が書いていた。 反社会的勢力とは何か、その判定基準を統一せよと。 その要旨はこうだ。 すなわち、昨年明るみに出て大騒ぎになったみずほ銀行やその傘下にある信販会社オリコの暴力団融資事件は、メディアによる両社の利益優先主義や反社会的勢力(暴力団)に対する甘さという批判の嵐の前に、業務停止と頭取らの辞任に発展して終わった。 しかし、この事件の本質は、オリコが反社会的勢力と知って顧客契約を結んだことでもなければ、反社会勢力の審査に手を抜いたわけでもなく、単にみずほ銀行とオリコの間で反社会的勢力の判定基準が異なっていたことにあったのだと。 そして現在、反社会的勢力を明確に定義する法令も、これを判定する公的機関もない以上、各企業が独自に情報を収集し、判断するしかない。 企業が今後反社会的勢力との関係を持たないように効果的な対応を取るためには、警察当局などの協力を得て業界全体として反社会的勢力の排除体制を整備するしかない。 こう宗像弁護士は「私の視点」で言っているのだ。 そのことを、宗像氏は昨年末にオリコが設置した検証委員会の委員長を引き受け、中立的な立場から社内調査結果を検証したわかったと書いている。 驚くべき投稿だ。 私はみずほ・オリコ事件は氷山の一角であり、みずほ・オリコだけをたたいて終わらせるのは一罰百戒ではないかと当時書いた。 その意味ではみずほやオリコだけを悪者にして終わらせてはいけないという宗像氏の投稿には同意できる。 しかしそこに書かれているほとんどに大いなる違和感を持つ。 「反社会的勢力を明確に定義する法令も判定する公的機関もない」と平然と公言する元検事の開き直りには驚かされる。 そのような不備の法令をつくって国民をしばり、それに違反すれば罰するという国(警察・検察・司法)の無責任さをなぜ指摘しないのか。 「警察当局などの協力を得て業界全体として反社排除体制を整備すべきである」と業界に求める無責任さは驚くべきである。 反社会的勢力を排除する全責任は国(警察・検察・司法)にあるのではないか。 そもそも反社会的勢力が根絶されればこのような問題は起こらないはずだ。 それを事もあろうに警察当局と協力しろという。 天下りを受け入れろと言っているようなものだ。 そして、このような問題の本質を、検事を辞めて弁護士となり、オリコが設置した検証委員会の委員長になって初めて知ったという。 どんなに立派な事を言っても、宗像氏もまたヤメ検と蔑称される天下り官僚の一人だということだ。 元検事、元東京特捜部長という特権を、検事を辞めた後も、社会的正義の実現に使うのではなく私物化する。 この国はどこまで行っても官尊民卑の不平等、不公正な国である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)