□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月19日第168号 ■ ========================================================= 今こそ正しい対北朝鮮外交のチャンスだ ========================================================= 北朝鮮の人権に関する国連調査委員会の報告書が2月17日に発表され、その中で外国人拉致を含む歴代指導者の「人道に対する罪」が糾弾された。 国連がここまで踏み込むとは驚きだ。 北朝鮮にとってこれ以上ないダメージになる。 これを見た古屋拉致問題担当大臣は、この報告書の発表は拉致問題解決のチャンスだと語った。 北朝鮮が国際的に悪者であることが認められたわけだから国際社会と一致して北朝鮮への圧力を強化して拉致問題解決に弾みがつけられるというわけだ。 きょう2月19日の読売新聞の社説などもそう主張している。 おそらく日本国民の多くもそう思うだろう。 私もこの国連の報告書の発表は日本の対北朝鮮外交にとってのひとつのチャンスだと思う。 しかしその意味するところは正反対である。 北朝鮮が世界の悪者に認定された今こそ日本は北朝鮮に対し国交正常化交渉を持ち掛け同時に拉致問題の根本解決を図るのだ。 北朝鮮が拉致した外国人はもちろん日本人だけではない。 だから拉致問題の解決は日本だけの問題ではない。 しかし日本の拉致問題は日本の朝鮮に対する侵略と支配の歴史が絡んだこよなく日朝間の二国問題でもある。 ここのところが日本の拉致問題とその他の国の拉致問題との根本的な違いである。 すなわわち北朝鮮の拉致問題は北朝鮮のほかの人権問題と同列において論じられる人権問題ではなくこよなく日朝間の政治問題なのである。 そして日本の拉致問題の解決はいまや日本国民の悲願であり、中途半端な解決でごまかす事は出来なくなった。 拉致問題の解決は日朝国交正常化と一体として解決するほかはないのだ。 北朝鮮が国際的に孤立するいまこそ日本は北朝鮮との直接交渉を持ちかける時である。 そのことに安倍政権が気づかないはずがない。 古屋拉致問題担当相がその事を知らないはずがない。 その証拠に安倍政権は裏で北朝鮮側と極秘接触を重ねている。 そのことをメディアも知っている。 たとえば政治評論家の後藤謙次は週刊ダイヤモンド2月8日号で書いている。 朝鮮総連ビル落札問題の裏でモンゴルが動いているのも、外務官僚が米国に通報もせずに北朝鮮官僚と極秘会談をしているのも、安倍首相電撃訪問の可能性を探っているからだと。 安倍政権の矛盾と限界は、このような一大外交を、国民に隠してこそこそ行っていることだ。 日朝国交正常化と一体となった拉致問題の根本解決ではなく、拉致問題の解決を政権浮上の道具に使おうと解決を急いでいることだ。 何よりも安倍首相の歴史認識では北朝鮮との正しい外交交渉は出来ない。 一刻も早い、正しい指導者による正しい北朝鮮外交が望まれるのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)