□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月16日第160号 ■ ========================================================= NHKのインタビュー取材に応じないケネディ大使 ========================================================= きのう2月16日の東京新聞が注目すべきスクープ記事を掲載した。 すなわちNHKがキャロライン・ケネディ駐日大使のインタビュー取材を米国大使館に申し込み、日程調整を進めていたところ、百田尚樹NHK経営委員の一連の発言を理由に大使館が難色を示してきたというのだ。 これは超一級のスクープ報道である。 複数の関係者の話でわかったというこの東京新聞のスクープ記事の要旨は次のごとくである。 NHKは昨年11月15日のケネディ大使の着任直後からケネディ大使とのインタビューを米国大使館に申し入れ、交渉を続けていたという。 着任早々からインタビューを申し込んでいたのに今日まで米国大使館がそれに応じなかったという事自体も驚きであるが、もっと驚かされるのは、2月上旬になって突然米国大使館の報道担当者から次のような趣旨を伝えられたというのだ。 「百田氏の発言でインタビューの実現は困難になった。大使本人とワシントンの意向だ」 これが事実としたらものすごいスクープである。 NHK広報部は東京新聞の確認に対し「回答を差し控える」としているという。 米国大使館も、「大使のスケジュールはお話ししないことになっている」と珍しく口が堅い。 それはそうだろう。 NHKにとては衝撃的な回答だ。 米国にとってもこの事が知れると困惑せざるをえない。 取材拒否がケネディ大使とワシントンの意志であることがわかれば安倍首相が受けるダメージははかり知れないほど大きい。 NHKは日本の公共放送だ。 任国の公共放送からインタビュー依頼を受けた大使は、それを光栄に思いこそすれ、拒否するなどということは外交の常識から言えばあり得ない。 そのような取材拒否を、特命全権大使が本国政府と一体となって行うということは、二国間関係がよほど悪化している事を世界に知らせる事になる。 いま安倍政権が倒れて日本の政治が混乱しては米国にとってもためにならないからだ。 米国政府が安倍政権を倒したということが世界に知れ渡ったら都合が悪いからだ。 ひょっとしてこのスクープが出たために、米国大使館はあわててNHKのインタビューに応じるかもしれない。 それほどこの東京新聞のスクープは、安倍政権にとってはもちろんの事、米国大使館にとっても迷惑なスクープに違いない。 だからこそ、これほど重大な東京新聞のスクープ記事を後追いするメディアがあらわれてこない。 完全に黙殺され、ニュースとして広がらない。 おそらくNHKか米国大使館の内部関係者が東京新聞に内部告発したのだ。 安倍首相とNHK会長や経営委員長が結託してNHKを右翼の代弁者として私物化しようとしている事に我慢できなかったのだ。 それほど今の安倍首相とNHKの関係は不健全であるというのに、そしてそれは皆が感じている事なのに、それを止められない世論や米国の安倍政権に対するダブルスタンダードぶりに怒った内部関係者が、一泡吹かせたいと機密情報を東京新聞に密告したのである。 果たしてキャロライン・ケネディ大使はNHkのインタビューに応じる事になるのだろうか。 オバマ政権と安倍政権の本当の関係を占う重要な試金石である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)