□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月16日第160号 ■ ========================================================= 政治家が自らの言葉で国会答弁する事の重要性 ========================================================= 読者にはあまり関心がないことかもしれないが、国会答弁に関する重要な記事を見つけたので紹介したい。 2月9日の日経新聞が「永田町インサイド」という特集記事の中で、「国会答弁 その実態」という特集記事を掲載していた。 そこには首相や閣僚の国会答弁をどのようにして官僚によって準備・作成され、政治家が答弁に失敗しないよう仕組まれているかが説明されている。 すなわち官僚が質問予定の議員から事前に質問内容を聞き取り、その答えを関係各省で協議して作成し、そして首相や大臣に勉強させて国会答弁に臨む。 もちろんそのような形で国会答弁が作成される事についてはメリット、デメリットがある。 私が注目したのは増山幹高という政策研究大学院大学教授の次の評価だ。 すなわち増山教授は言う。 国会答弁が「答えられない」という不完全燃焼にならないよう、質問内容を事前通告するルールは必要である、と。 官僚が準備、作成する国会答弁が望ましいと言っているのだ。 しかし事前通告ルールを守って官僚に答弁を作成させるというこれまでのやり方には大きな欠陥がある。 その最大の欠陥は官僚答弁は真実を隠し、答えをはぐらかす事にそのすべてを集中させるからだ。 専門的、技術的答弁に逃げて、国会討論をわからなくさせるからである。 その対極にあるのが政治主導の国会答弁である。 いやしくも政治家であれば官僚答弁に終始するのは情けない。 自らの言葉で自分の信念を語るのが政治家だろう。 こういう批判に背を押されて政治主導の政治答弁が行われるようになって久しい。 今でも国会答弁は官僚が準備、作成しているが、それでも官僚である政府委員が答弁する事は極端に減った。 官僚が用意する国会答弁を読まずに首相や閣僚が自分の言葉で答える場面が増えた。 私が現役官僚として国会答弁づくりに奔走していた頃に比べれば雲泥の差だ。 すなわち政治主導の国会答弁がかなり行われているのだ。 その功罪はもちろんある。 増山教授の言うように議論が粗雑に終わる事は確かに罪の部分である。 しかしそのような罪をはるかに上回る功がある。 それは政治家が自分の言葉で語ろうとするあまり、本音が出たり暴言、失言が出ることだ。 その典型が最近の一連の安倍首相の発言である。 官僚たちが、あらゆる側面を慎重に考慮して作成する答弁を、政治家がただ読み上げるならこのような暴言、失言はあり得ない。 そんな答弁では国民は何もわからず、何よりも面白くない。 政治家が自らの信念を語るから本音が出るのだ。 本音がでるから国会質疑が思わぬ波乱を起こすのだ。 そこから本物の政策論争が始まる。 国会答弁は専門的、技術的な事柄を議論する場ではない。 一般国民に向かって政策の基本的違いを浮き彫りにさせて一般国民に明確な選択の機会を与えることに役立つ答弁でなくてはいけない。 官僚作成の国会答弁をいっそのことすべて廃止した方が国会の活性化につながる。 官僚たちも、国会作成の為に使う膨大なエネルギーを、まともな政策作りに振り向けることができる。 やはり政治主導の国会答弁hさ望ましいのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)