□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月15日第156号 ■ ========================================================= TPP交渉で日本だけが孤立しているという大嘘 =========================================================== 私は2月14日のメルマガ第150号で甘利TPP大臣の訪米を解説する14日の朝日新聞の記事を次のように引用した。 「米国と新興国の対立解消が進む中で、コメや牛肉などで関税撤廃に難色を示す日本が孤立する可能性が出てきたため、フロマン代表との直談判で交渉を進展させる狙いがある」と。 しかし本当に日本はTPP交渉で孤立しているのだろうか。 どの国も守るべき国益があるはずだ。 ましてや新興国は保護すべき分野は多いはずだ。 日本だけが孤立するはずがない。 ところが日本だけが孤立しているかのような報道が盛んに流されるようになった。 そうなのだ。 日本だけが孤立するはずがないのに、孤立させられようとしているのだ。 その片棒を日本のメディアが担いでいるのだ。 日本のメディアはおしなべて対米従属であるが、その中でも朝日は顕著だ。 まるで米国の意向を代弁しているかのごときメディアだ。 そう私は繰り返し書いて来た。 この朝日の記事も、私のその解釈から見ると、朝日の真骨頂のような記事である。 同じ2月14日の読売新聞にオバマ大統領のアジア歴訪の日程を報じる記事があった。 そしてその訪問先の一つであるマレーシアについてオバマ大統領訪問の目的に関する次のようなくだりがあった。 「・・・マレーシア政府は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に慎重姿勢を強めているとされる。米国はTPP交渉を通じて国有企業の優遇策を見直すように求めているが、マレーシア側は経済活動などでマレー系国民を優遇する『ブミプトラ政策』の見直しにつながる規制緩和には応じない姿勢だ。オバマ大統領が訪問しても譲歩する可能性は薄そうだ」 私は1990-93年にマレーシアに勤務して知っている。 マレー系国民を優遇するこのブミプトラ政策は、国内に中国系マレーシア人を3割も抱えているマレーシアにとっては国の存亡にかかわる国是である。絶対に譲れない。 米国もそれを知っているから譲歩せざるを得ないのだ。 コメを生産する農業や農家を守る事は日本の国是のはずだ。 その日本がコメの完全自由化に反対するのは当然だ。 米国がそれを知らないはずがない。 米国がマレーシアの国是に譲歩して、日本の国是に譲歩しないというのは理屈が通らない。 例外を認めると完全自由化を目指すTPP協定が損なわれるというのはウソだ。 すでにマレーシアの国是を例外扱いする時点でTPP協定の完全自由化の原則は崩れている。 他の新興国についても譲れない国是はあるはずだ。 だからTPPに例外はつきものだ。 それにも拘わらず日本だけ例外を認めないなどということは理不尽だ。 「米国と新興国が合意し、日本だけが孤立する」というのはウソである。 日本に譲歩を迫るための圧力である。 日本に圧力をかけようとしている米国に日本のメディアが加担しているという事である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)