□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月13日第149号 ■ ========================================================= 毎日新聞専門編集委員たちの安倍政策批判は続く =========================================================== これが意図したものか、あるは偶然なのかは私にはわからない。 しかしここにきて毎日新聞の専門編集委員たちが立て続けに安倍首相の政策を批判し始めた。 きのう2月12日の毎日新聞紙面で倉重篤郎専門編集委員が与謝野馨前衆院議員の言葉を引用してアベノミックスを痛烈に批判した。 同じく2月12日の毎日新聞紙面で布施広専門編集委員がNHK会長らの暴言を批判して「NHKの受信料は払いたくない」とまで書いた。 いずれも安倍首相に直結する批判だ。 この事を私は昨日のメルマガで書いた。 そしてきょう2月13日の金子秀敏専門編集委員の安倍批判だ。 「木語」という論評の中で金子氏は、ダボス会議で安倍首相が軽率にも口にした、あの言葉、つまり「いまの日中関係は第一次大戦前の英独関係のようだ」という言葉を取り上げた。 経済関係の深い英独でも第一次世界で戦うことになったと言わんばかりの安倍首相のこの言葉は、欧米の識者に安倍首相は日中戦争を否定しないと受け止められた。 こう書いた後で、金子氏は外務省が発行している外交専門誌「外交」の23号に掲載されているクリストファー・レイン氏の「パックス・アメリカーナの終焉後に来るべき世界像」を引用して次のように書いている。 第一次大戦の英独戦争は、英国の国際秩序(パックス・ブリタニカ)に挑戦するドイツを許さないとして戦争になった。 しかしいま中国から挑戦を受けている米国は戦争を選んだ英国の誤りを繰り返すべきではない。 米国が中国と戦争をしないためにはどうすべきか。 中国を東アジア覇権国として認めるのだ。 すなわちアジアに展開する米軍を段階的に撤兵し、東アジアで紛争(朝鮮半島、台湾、尖閣)が起きても軍事的に関与しない。 東アジアのパワーバランスに任せるのだ(オフショアー・バランシング)。 そして金子氏はこう続ける。 各国の朴大統領は中国に急接近している。 台湾も中国との対話に踏み切った。 米国はこのような東アジアにおける中国の覇権的秩序が米国にとって脅威でなければ容認するかもしれない。 それは米国のアジアからの撤退でありその時には日米安保条約も米国は必要としなくなる。 そして金子氏は言う。 安倍首相は中国をアジアの覇者として認めないだろう。 日本だけが中国と戦争する可能性のある国として残る。 ダボス会議の参加者は、そう受け止めたのである、と。 これは強烈な安倍外交に対する批判である。 もちろん米国がクリストファー・レイン氏の言うようなオフショアー・バランシングに踏み切るとは限らない。 いまのところはまだアジアにコミットしているように見える。 しかし英独戦争の誤りを避けて米中戦争の愚を繰り返さないためには、ありうるシナリオなのである。 その事態をまったく想定せずに、ひたすら日米同盟を頼みとして中国との敵対関係を見せる安倍外交は、あり日突然梯子を外されるかもしれない。 そう金子氏は言っているのだ。 これ以上ない安倍外交に対する批判である。 一斉に安倍首相の政策に疑義を表明するようになった毎日新聞の専門編集委員たち。 これは偶然なのか。 毎日新聞の社是なのか。 他の新聞も毎日新聞に続くのだろうか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)