□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月7日第126号 ■ ========================================================= 訪露を強行した安倍首相の外交感覚を疑う =========================================================== きょう安倍首相はロシアに向けて出発する。 今年に入って何度目の外遊だろうか。 国会の間をみつけて外遊するというなら分かる。 しかし外遊の間をみつけて国会に出ているようなものだ。 まるで日本から逃げるように外遊を続ける安倍首相であるが、」今度の訪露は単なるムダにとどまらず、これまでの我が国の外交から見ておよよ間違った首脳外交だ。 プーチンのロシアに対し米国をはじめとした西側諸国は批判的である。 だからこぞって西側主要国の首脳は五輪訪ロをボイコットした。 本来ならば日本も歩調をそろえるところを、そして一旦は見送る姿勢を見せた安倍首相であったが、突然訪ロを決断した。 プーチン大統領の要請に応え、孤立している時にこそ恩を売って関係を強化するというわけだ。 しかし、歴史認識を巡って不信感を抱き始めた米国との関係を修復する事が日本外交にとって最重要課題である。 しかも今の米国とロシアの関係は冷戦後では最悪の時である。 それでも安倍首相はプーチン大統領との関係強化を急ぐ。 なぜか。 それはプーチン大統領との関係を良好なものにして北方領土問題の解決を図りたいからだという。 それを本気で信じるものはいない。 安倍首相の本当の目的は中国をけん制するためにプーチン大統領のロシアを近づけたいということだ。 しかし習近平主席はすでに一足先にロシアを訪れ、プーチン大統領と首脳会談を行なう。 中国は西側主要国とは価値観の異なる非民主的なロシアの同胞国だ。 そんな国ととの関係緊密化を競い合う事自体が間違っている。 それでも北方領土の進展があればまだいい。 しかし北方領土問題はロシアにとって第二次大戦に勝った戦利品だ。 戦後レジームを変えようとする安倍首相の下で譲歩する事などあり得ない。 おまけにそもそも北方領土はルーズベルト米国大統領とスターリンソ連首相の密約(ヤルタ会談)でソ連に与えられたものだ。 この事を、安倍首相が訪ロする前日(2月6日)の産経新聞が大きく書いていた。 安倍首相を支える産経が書いているところがミソだ。 ロシアは日本にとって油断できない裏切り国家だから気をつけろと言っているのだ。 北方領土問題は同時にまた米国との外交問題であると言っているのだ。 いまの安倍首相はその米国に不信感をもたれ、かつて日本を裏切って領土を掠め取ったロシアに西側の首脳としてただ一人迎合し、そして悉く日本を出し抜こうとしている中国に遅れをとってのこのこロシアに出かけていく。 今度の安倍首相の訪ロは一言で言えばそういう事だ。 米国、ロシア、中国、という第二次大戦の戦勝国とのいずれの関係においても不利な環境の中で訪ロする。 もちろん何の成果も期待出来ない。 これほど優先度を間違えた外交は、本来の自民党の外交でもなければ外務省の伝統でもない。 そんな安倍首相の訪ロを誰も止めようとしない。 メディアはあたかも重要な訪ロの如く報じる。 日本の外交はいま安倍首相の下でかつてないほど弱体化している(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)