□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年1月23日第76号 ■ ========================================================= どっちに大義があるのか(安重根をめぐる中韓と日本の主張) =========================================================== 靖国問題についで今度は安重根問題だ。 しかし、この問題もまた日本は勝てない。 きょう1月23日の毎日新聞に専門編集委員の金子秀敏氏が「木語」という論評の中で、安重根の評価についてきわめて的確な指摘をしている。 まず金子氏は、「テロ」か「英雄」か、は立場によって正反対となるという例を、赤穂浪士の討ち入りにたとえてこう書いている。 「・・・江戸時代、赤穂浪士は他人の屋敷に侵入して人を殺した。違法なテロだ。治安当局から切腹を命ぜられた。しかし浪士たちは『主君の敵討ち』の大義があり、歴史の法廷では無罪となり、『赤穂義士』と呼ばれる・・・」 こう書いて「大義」の有無こそテロリストと義士の違いであるという。 もちろん彼の頭にあるのは史実とは異なる戯曲の忠臣蔵である。 私もその忠臣蔵の大ファンだ。 こう書いた上で、金子氏は続ける。 帝政ロシアは蔵相を派遣して伊藤博文の遺体に告別の礼を尽くし、英、独、仏の新聞は伊藤博文を「東洋のビスマルク」、「穏健な植民地政策で知られる政治家」と高く評価した。植民地を支配する帝国主義国として日本と同じ立場だったからだ、と。 その一方で列強から侵略される立場の中国(清国)の新聞は「抗日義挙」と書いたと。 そう書いたうえで金子氏は次のように断じる。 いま安重根をどう評価すべきか。国際社会はもはや帝国主義の看板を下ろした。いまさら伊藤を「東洋のビスマルク」などとたたえる国はないだろう。韓国は安重根の願い通り日本から独立した。中国は帝国から社会主義国になった。 つまり暗殺事件から105年たったいまの国際社会において、どちらの主張に大義があるかということだ。 金子氏は次の言葉でこの論評を締めくくっている。 「この論争に深入りすると日本はまた孤立する」、と。 見事な解説だ。。 大義が勝つとは限らない。 しかし大義のない主張は決して大衆の心を揺さぶることはできない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)