□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年1月19日第61号 ■ ========================================================= 「異例の歓待を受けた谷内正太郎局長」という報道の持つ意味 =========================================================== きょう1月19日の日経新聞がただひとり、谷内正太郎氏の訪米に関して鋭い記事を書いている。 オバマ政権は17日、訪米した谷内正太郎国家安全保障局長を異例の厚遇で迎えたと。 すなわち谷内氏はケリー国務長官、ヘーゲル国防長官、ライス大統領補佐官らと相次ぎ会談したと。 これは谷内氏に先立って行われた中曽根弘文議員を代表とした日米国会議員連盟の訪米や、安倍首相の実弟である岸信夫外務副大臣の訪米が、ラッセル国務次官補やバーンズ国務副長官との面会止まりであったことを考えれば、異例の厚遇であったと。 私が注目したのは、カウンターパートであるライス補佐官との会談はその日程に盛り込んでいたが、オバマ政権の主要閣僚であるケリー、ヘーゲル両氏との会談実現は谷内氏自身にとっても意外だったとその日経の記事が書いていたことだ。 それは何を意味するか。 オバマ政権が、谷内局長を通じて、あらためて安倍首相に対し、中国・韓国との関係改善に日本から示せと迫ったということだ。 外務官僚出身の谷内氏が帰国後安倍首相にどう進言するかは私には手に取るように読める。 谷内氏はこの米国の強いメッセージに接し、これまでの言動から手のひらをかわしたように、米国の要求に従え、米国は本気だ、さもなければ安倍政権は危うくなると安倍首相に迫る。 谷内局長にそう迫られた安倍首相は、もはやそれに従うしかない。 世論を驚かせるような形で、劇的に中国・韓国との関係改善を見せる。 その安倍首相の決断の背景には、米国が谷内局長に伝えたメッセージがある。 すなわち米国の、同時並行的に、中国・韓国に対してこれまで以上に強い働きかけをして、日本と中国・韓国との関係改善のおぜん立てしてやるから、というメッセージだ。 この日米密約を米国は谷内氏に伝え、それを谷内氏が安倍首相に伝えるのである。 かくしてすべてがメンツを保って丸くおさまる事になる。 日中韓の関係がよくなって文句を言うものは誰もいない。 唯一文句を言う安倍首相を支える右翼たちは、安倍首相の決断の前にたちどころに黙ってしまう。 安倍首相は決断の首相として歴史に評価され、それをお膳だてした谷内正太郎氏の評価はいやます。 中国をけん制しながら米日韓同盟を強化してアジアへの影響力を保つオバマ政権は、最大の目的を達成することになる。 残念ながらこの私のシナリオは当たるだろう。 権力の中にあって、米国の命令を忠実に執行する谷内正太郎氏の勝ちである。 いくら正しい事を言い続けても、何の後ろだても、権力もない私の敗北である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)