□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年1月8日第22号 ■ ========================================================= 中国の防空識別圏撤回を米国が求めなかった理由 =========================================================== 今ごろになってこんなことを書いている。 そういう思いで私はきょう1月8日の日経新聞の「防空権、米の苦しい事情」と題する「真相 深層」いう記事を読んだ。 その記事は、米国があの時中国の防空識別圏撤回を求めなかった、いや求めたくても求められなかった理由を、見事に解説して見せている。 すなわち、そもそも防空識別圏の設定は国際法上で明確に認められたものではなく冷戦下に米国が一方的に決めたものだと。 アジア太平洋では1950年にGHQ(連合国軍総司令部)が日本、韓国、台湾、フィリピンにまたがる空域をかってに線引きし、旧ソ連や中国の領海侵犯を監視するために使っていたと。 その線引きは4か国にそのまま引き継がれ、日本は1959年に航空総隊司令官と米軍第五空軍司令官との間で「松前・バーンズ協定」が交わされ、日本側に移管されたと。 日本がそれを日本の防空識別圏として規定したのはそれから10年後の1969年に防衛省の訓令で行ったのだと。 こういった日本政府内部でも防衛省の担当者ぐらいしか知らない歴史的事実を紹介したうえで、その日経の記事はこう書いている。 「・・・そもそも中国や旧ソ連の領空侵犯を念頭に米国が設定した経緯があるだけに、撤回要求は米国批判につながりかねないという計算が米国にはあった・・・」 だから米国は日本の撤回要求には応じず、運用で中国側をけん制することに終始したというわけだ。 当時の日米間の対応の食い違いの報道を注意して読んでいればこのことはわかる。 私もそのことを何度も指摘してきた。 しかしこれほどはっきりと米国の弱みを指摘した記事は当時は皆無だった。 もしあの時、米国には中国が防空識別圏を設定したことに対して文句を言う資格はないと、ここまではっきりメディアが書いていれば、日本側の中国に対する撤回要求がいかにピンとはずれであるか国民は知ったはずだ。 今ごろになってこんな記事を書く日経新聞を私は信用しない。 それでもまだ書くだけましだ。 ほかの新聞は今になっても決して書かない。 日経新聞以上に悪質で不誠実である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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