□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月23日第974号 ■ ============================================================= 安倍・小泉では脱原発は絶対に出来ない理由 ============================================================ あっという間に終ってしまった感のある小泉脱原発騒ぎであるが、21日(土)昼のテレビ東京「田勢康弘の週刊ニュース新書」にゲスト出演していた古賀誠元自民党幹事長が興味深い発言をしていた。 すなわち小泉元首相の脱原発論は「支持率低下の時の仕込みで、安倍首相への一つの助け舟だ、対立ではなく師弟関係だ」と。 もっとも、彼の言う援護射撃とは、安倍首相が脱原発を宣言すればこれで安倍自民党政権は磐石だ、だからそうしろという援護射撃だと古賀誠も認めている。 だから小泉元首相を応援して脱原発を実現したい者たちは、小泉元首相を応援する事は半分正しいが半分間違っている。 万が一安倍首相が小泉首相の援護射撃を受け入れて脱原発に向かうなら、右翼的で憲法9条改憲を最大の政治目標とする安倍自民党政権を生き延びさせる事になる。 それでもいいのかということだ。 私はそれは自己矛盾であり、脱原発は安倍自民党政権を倒すことと一体でなければならないと思っている。 その理由こそ、このメルマガの目的である。 中国を敵視する小泉や安倍には絶対に脱原発はできない。 そう思わせる記事を月刊情報誌エルネオス12月号の中に見つけたので紹介したい。 その記事はこう書いている。 すなわち中国は原発を推進し、原発大国となって原発輸出も行なおうとしている。おまけに中国の軍事的脅威に対抗する最も有効な手段は原子力潜水艦の保有である。もし日本が脱原発に向かうなら、世界の原発市場を中国にとられ、安全保障面でも中国に絶対勝てない国となる。それでいいのか、と。 小泉元首相は元祖靖国神社参拝論者であり、それを強行し続けた政治家だ。 脱原発の講演を記者クラブで行なった時も、自らの対中強硬論を展開し、安倍首相に靖国参拝をすすめた人物だ。 そして安倍首相はその小泉元首相に輪をかけた対中強硬論者だ。 そのような者たちが、中国が世界最大の原発推進国となり、原発輸出大国となり、そして米国と争う核兵器大国となることがわかっていながら、日本だけが脱原発国となることを容認するだろうか。 この事は何も中国だけに限らない。 世界の主要がそうだ。韓国がそうだ。サウジアラビアのようにイランと対抗するため原発を持ち、そして核兵器保有国になることを目指している多くの中東諸国が控えている。 これを要するに、原発と核兵器は表裏一体であり、あたかも憲法9条が世界に広がらないのと同様に、世界は決して脱原発には向かっていない。 そんな国際政治の現実の中で、安倍自民党政権が日本だけが原発ゼロになる政策を行なうだろうか。 それに気づいた国民の大勢が、それでも原発ゼロを要求するだろうか。 私はそれでも日本は原発ゼロに向かうべきだと思う。 そしてそれはあたかも憲法9条は何があっても変えてはならないという私の考えにつながる。 現実の前に理想を捨てるのではなく、理想を実現して現実を変えることを目指すべきだと考える。 しかしこのような考えが、あまりにも理想主義的だとして、多くの国民の共感を得られない事も知っている。 そうなのだ。 脱原発を本気で唱えるなら、護憲に行き着かざるをえない。 そして護憲を貫く事は、今の日本では脱原発を唱える以上に少数派に成りつつある。 それを多数派に変えなければ原発ゼロの日本は実現できないい。 それほど困難な事なのである。 それを知った上で原発ゼロを唱える者こそが本当の脱原発論者なのである。 中国に負けたくないと考える小泉元首相や安倍首相が本気で原発ゼロを唱えることはありえない。 彼らが指導者であり続ける日本が脱原発に向かう事はない。 脱原発の実現はそういう政治支配体制を変えない限り実現しない。 そしてそれは国民を動かす一大政治事業なのである。 そこに気づくものが脱原発派のなかでどれほどいるだろうか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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