□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月17日第958号 ■ ============================================================= 菅官房長官の「1ミリも譲れない」という言葉をよく覚えておこう ============================================================ きょう12月17日から始まる読売新聞「政治の現場」と題する連載は安倍政権の1年を振り返るものらしい。 その第一回目のきょうの記事は安倍首相の女房役である菅官房長官を絶賛する記事だ。 官邸主導の政策が結束が固いのは菅官房長官の力量であり安倍首相は全面的に信頼しているという。 その例として先のTPP閣僚交渉でフロマン米代表の圧力を突っぱねたのは菅官房長官であったと次のように書いている。 すなわち大詰めを迎えていたTPP交渉の並行協議である日米協議の場に菅官房長官が現れると、フロマン米代表は甘利担当相ではなく菅官房長官に向かって話し出したという。安倍内閣の最重要人物(米政府筋)との菅なら決着に持ち込めると米国は計算したのだ。だが菅は「1ミリも譲れない」と、農産品の全面的な関税撤廃には応じられない考えを示した。フロマン代表は予定していた昼食もキャンセルして菅に迫ったが菅の答えは同じだった・・・ これを読む限り菅官房長官は米国を相手に一歩も譲らない天晴れな政治家の如くだ。 しかし米国がもっとも重視する自動車や保険ではとっくに日本は譲歩させられている。 そして農産品でさえも菅官房長官は譲歩させられるだろう。 きょう12月17日の各紙が報じている。 米議会の与野党幹部が貿易一括交渉権をオバマ大統領に認める方向で一致したと。 これは何を意味するのか。 オバマ大統領に権限を与え、来年早々には米国の国益を最大限に実現する形でTPP交渉を決着させたいということだ。 大統領と議会がそれで一致したということだ。 TPP交渉の年内妥結が実現しなかったのは米国が強引に国益を追求しようとしたからだ。 その背景には米議会のオバマ政権に対する国益最大限化の圧力があった。 だからフロマン代表は強引にならざるを得なかった。 それが裏目に出て新興国は反発した。 新興国の反発に調子に乗って日本も農産品で抵抗し、米国を怒らせた。 米国はそのいまいましい反省に立って、それならいっそのことオバマ大統領に貿易交渉権を一任して、議会と大統領府が一体となって国益を追求しようということになったのだ。 日本を譲歩させればほかの国も譲歩させられる。 対日要求を強化して日本に譲歩を迫ろうということになったのだ。 見ているがいい。 来年になると再び米国は対日譲歩を迫ってくる。 そしてその時は対日要求は恫喝まがいの強硬なものとなる。 その時でも菅官房長官は「1ミリも譲れない」と言えるのか。 我々はこの言葉をよく覚えておかなければならない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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