□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月17日第957号 ■ ============================================================= 張成沢失脚はチャンスだと見る武貞秀士元防衛研究所研究官 ============================================================ 張成沢(チャンソンテク)氏の処刑はあまりにも衝撃的だった。 さすがに北朝鮮の金独裁体制はどうしようもない恐怖政治体制だということになる。 しかし、どのような体制でもそれを軍事力で倒すという事が不可能で不適切であることを我々はイラクやシリアの例で知っている。 金体制が自爆に向かえばその被害がすべてに及ぶことは誰でも分かる。 金体制と向かい合い、体制に変化を迫るしかないのだ。 どう向かい合うか。 これに対する答えは米国も中国も、誰も持ち合わせていないがごとくだ。 米国は、だから北朝鮮に核を持たせてはいけないのだ(ケリー国務長官)といい、張成沢氏を重用してきたと言われる中国は、これは中国への挑戦だと怒るしかない。 そんな中で、私は東北アジア国際戦略研究所の武貞秀士客員研究員(元防衛研究所統括研究官)の発言に注目した。 14日に開かれた政府主催のシンポジウムで出された意見だという(12月15日産経) すなわち彼は「『日朝の窓口はおれだ』という張成沢がいなくなったことで、日朝関係はむしろいい機会を迎えている」として日朝首脳会談の開催を提案したという。 私はこの意見に賛同する。 日本の対北朝鮮外交の大きな誤りは、金正恩を正面から相手にすることなく、張成沢や外国にたよって間接的に裏で物事を動かそうとしたその消極性と秘密性にあったのではないか。 それが張成沢を増長させ、主役はオレだという金正恩に反逆者と警戒されて処刑されたとすれば大いなる皮肉である。 しかし、もしそれが金正恩による張成沢処刑の真実であるのなら、いまこそ日本は、世界中から危険視されている独裁者の金正恩を相手に、世界に先駆けて首脳外交を呼びかけるべきだ。 そして日本にはそれを行なう資格があり、金正恩はそれに応じる理由がある。 それは日朝国交回復による経済協力(賠償)と拉致問題の包括解決である。 この武貞氏の発言を知って語ったのはどうかわからないが、安倍首相は16日に開かれた拉致問題の集会に出席し、変化が拉致問題解決につながるのであればチャンスを逃してはならないと発言したらしい。 しかし、彼の発言は根拠がある発言ではないに違いない。 根拠無くチャンスだと言ってみただけだ。 北朝鮮に対する強硬策一辺倒で終始してきた安倍首相とその側近閣僚には、チャンスに気づき、それを生かす器量はない。 またしても日本は、米国や中国を凌ぐ大きな外交チャンスを見逃すことになる(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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