□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月9日第932号 ■ ============================================================= TPPでも自民党を超えられなかった民主党 ============================================================ 自他ともに鳩山たたき、民主党たたきに終始してきた産経新聞のことだから、これも鳩山民主党政権をおとしめる目的の記事なのだろう。 しかし、いくら鳩山民主党政権を批判するための記事であっても、そこに書かれている事が事実なら興味深いスクープ記事だ。 12月7日の産経新聞は一面トップで次のような記事を記載した。 すなわち誕生したばかりの鳩山民主党政権下の2009年10月、シンガポールのリー・シェンロン首相が訪日した。そしてその時リー首相は鳩山首相や直嶋経済産業相らにTPPへの交渉参加を要請したという。しかし鳩山民主党政権は、関税を原則撤廃とするTPPへの反対論や、鳩山首相が中国や韓国との東アジア共同体構想に意欲を示していたこともあり、この要請を断ったという。当時のTPPはシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国だけでありまだ米国が正式に参加表明していない段階だった。もしその時点で日本が交渉参加を決めていれば、今よりも強い主導権を握る立場になっていたに違いない、という記事だ。 この記事にはオチがある。 つまりその産経の記事は、昨年12月に発足した安倍政権は、7月の参院選後に参加の是非を先送りすることもできたが3月に交渉参加を決定した。経済産業省幹部は「ギリギリのタイミングで、もっと遅ければ日本はルールメーキングから外されていた」としている、と結んでいる。 何の事はない。参院選への悪影響にもかかわらず農業団体や農水議員の反対を押しきって決断した安倍首相のおかげでギリギリ日本はTPP交渉のルールづくりに参加できた。物事を決められずに国益を失った民主党政権とは違って安倍首相はよくやった、という提灯記事だ。 おりしもTPP交渉は年内妥結に向けて安倍自民党政権はベタ降りさせられようとしている。 そんな時にTPP参加を決断した安倍首相は立派だなどとよくも書けたものだ。 決断が早いか遅いかなどは所詮どちらでも同じなのだ。 TPPの参加を見送るか、参加して米国の言いなりになかのどちらかしかない。 しかし、TPP参加を決断した安倍自民党を褒め、断った鳩山民主党を批判する産経新聞の意図とは関係なく、この産経新聞のスクープ記事は、TPPに関する民主党政権の迷走ぶりを見事に教えてくれる興味深い記事でもある。 なぜシンガポールの要請を断ったのか。 それはやはり関税を原則撤廃するというTPPに対する農業団体や農水議員の反対に配慮したからだ。これにつきる。 そして、もし鳩山首相が東アジア共同体構想を優先して断った事が事実とすれば、それはあまりにも軽卒だ。 鳩山首相は米国や中国と十分に話し合いをしないまま、いきなり国連演説でぶち上げて米国を怒らせた。 それでも中国の同意を得て東アジア共同体構想を実現させることが出来たら立派だが、中国は関心を示さず、鳩山首相が中国を説得した形跡は皆無だ。 米国を怒らせただけであっさりその構想をあきらめる。 結果的に米国をTPPに追いやって、東アジア共同体構想の先手を打たせたとすればこれ以上の皮肉はない。 そして民主党政権は菅直人首相になってから突然TPP参加を言い出した。 その時はすでにオバマ大統領がTPP参加を決めていた後だ。 対米従属の官僚に吹き込まれた結果だ。 その後野田政権になってからというものはTPP参加重視一辺倒で終始した。 しかし国内のTPP反対の声におされて決断できないまま政権を下りることになる。 これを要するに、民主党はTPPに関しては自民党と同じで、しかも自民党以下であったということだ。 しかし選挙に破れ、TPP参加の決断を安倍自民党政権にさせたことは民主党にとって結果的によかったのではないか。 ルール作りにギリギリ間に合って参加したTPP交渉で日本は全面的に譲歩させられようとしている。 ルール作りに間に合わなくて参加できなかったほうがよかったのだ。 参加していなければ今頃は、TPP交渉が、米国と他の参加国の間で合意ができないまま頓挫する有様を高みの見物できたかもしれないのだ。 いや、まちがいなくそうなっていただろう。 いままさに安倍自民党政権はTPPの年内妥結を迫る米国に鼻づらを引っ張りまわされている。 そして安倍自民党政権は最後は全面的に譲歩させられて終ることになる。 TPPに参加して日本の国益を失う愚を、安倍自民党政権に押しつけることが出来た民主党は、結果的に上手くやったということだ。 問題は、そのことを民主党は気づいていないということである。 どこまで行っても民主党は自民党を超えられないということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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