□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年5月15日第347号 ■ ============================================================== パフォーマンス飯島訪朝の茶番 ============================================================== 小泉純一郎元首相の政務秘書官をつとめた飯島勲氏が安倍政権の内閣官房参与としてきのう5月14日電撃訪朝をした。 その目的はもちろん行き詰まった拉致問題の解決だ。 私は拉致問題が解決するのであれば、誰がどのような形でそれを成し遂げてもそれを歓迎し、評価すると繰り返し書いてきた。 だから飯島氏が今度の訪朝で拉致問題解決に向けて成果を持って帰ってくるのであれば頭を垂れてその労を称えたい。 しかし、残念ながらそれは期待できないだろう。 私がそう思うのには次のような理由がある。 もし本気で解決臨むのなら、公表して鳴り物入りで訪朝などはしない。 それでは誰に向けて、何のためのメッセージか。 もちろんそれは日本国民である。 参院選に向けて日朝実務者協議を再開する。その原則的了解を取り付けに行くのである。 この程度の成果は可能だ。裏でカネを払えば北朝鮮に応じさせることは誰でもできる。 しかしそれ以上のものはないだろう。 そして実務者協議を再開したところで何も進展はしない。 拉致問題の本当の解決は日朝国交正常化と一体として解決するほかはない。 それは言い換えれば日朝双方の過去の誤りの清算ということである。 小泉首相の失敗はそれを本気で行なうことなく見せかけの謝罪と拉致家族救済で手を打とうとしたことだ。 安倍首相の歴史認識は小泉以下である。 日朝国交正常化にもっともふさわしくないタカ派政権下で、まともな日朝国交正常化と拉致問題の同時解決が出来るはずがない。 もう一つの問題は米国との関係である。 小泉訪朝外交が失敗した最大の理由は米国の横槍であった。 つまり北朝鮮の核保有を最重要視する米国に事前通報することなく訪朝し、日朝国交正常化を米国より先行しようとした小泉首相に米国は激怒し、北朝鮮の核疑惑を公表し、一気にそれを潰した。 北朝鮮の核の脅威とそれに対する米国の苦慮は、当時と今では比較にならないほど米国の関心事となっている。 米国は、役に立たない日本を抜きにして、中国と韓国を使って北朝鮮との話し合いを再開しようとしている。 デービース米国北朝鮮代表は14日ソウル入りしたあと、今日(15日)にも中国へ飛んで武大偉朝鮮半島問題特別代表と協議する。 そんな重要なときに、日本が勝手に北朝鮮と関係を進めようとすることを米国が許すはずはない。 おまけに米国は安倍政権を全く信用していない。そこどころか米国の国益を害するおそれのある危なっかしい政権だと考え始めた。 その安倍政権が飯島勲ごとき人物を使って北朝鮮と勝手な取引することを許すはずはない。 中国も韓国も同様の目で日本を見ている。 もし、安倍首相が、孤立する日本に危機感を抱き、米、中、韓国を相手に独自外交を見せつけようとしているのであれば最悪だ。 その一方で、もし安倍首相が、米国に頼み込み、迷惑をかけませんから参院選対策のパフォーマンスをさせてくださいと断って飯島訪朝を行なっているのなら、それこそ笑い話だ。 どっちにころんでも今度の飯島訪朝は茶番に終るだろう。 私が不思議に思うのは、高支持率を誇る安倍政権は今度の参院選で一人勝ちするといわれている中で、何をそんなにパフォーマンスに明け暮れる必要があるのか、ということである。 ひょっとして何もかも上手く行っていないことへの焦りがあるのではないか。 あるいは安倍政権は、遮二無二に突き進む事しか出来ない単細胞政権なのか。 その結果はすぐにわかることになる(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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