■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月21日第198号 ■ ============================================================== 野田毅議員が語る「主権回復の日」政府式典の意義とその矛盾 ============================================================== 私は3月7日の産経新聞が、政府が今年の4月28日を「主権回復の日」と位置づけて都内で祝賀式典を開くことがわかったとスクープ報道した記事を読んで、その日のメルマガ第168号で書いた。 驚いた。しかしそれをあえて歓迎すると。 そしてそれからわずか一週間後に安倍内閣が閣議決定をしてしまった事を知って3月15日のメルマガ第183号で書いた。 驚いた。本当にそんな決定がなされたのだ。安倍首相は自己矛盾ではないかと。 これから書くことはその続きである。 きょう3月21日の産経新聞に注目すべき記事を見つけた。 それは野田毅・自民党政調会長が「主権回復の日」についてその意義を語っている記事だ。 そのインタビュー記事の書き出しは次のような言葉で始まっている。 「最初に強調しておきたいのは、4月28日はいわゆる『お祝いの日』とは違うということなんです・・・」 そして野田氏は、政府が式典を開くのは、何故日本は主権を喪失したのか、主権を喪失していた期間に占領政策によってどんなことがあったかのか。これらの事に厳粛に思いを致すために式典を開くのです。まっさらな気持ちで右、左(のイデオロギー)を超えて、日本人全員で振り返るきっかけの日にしてもらえればと思います、と続ける。 私が注目したのはこの野田毅という政治家が自民党有志の推進議連の会長として「主権回復の日」の式典開催を働きかけてきた中心人物であるということだ。 すでに11年前に小泉内閣の時に提案したけれど実現しなかった長い経緯のある式典であったと述べていることだ。 それが安倍内閣になってやっと実現したというのだ。 提案者みずからがその意義を語っているのだから間違いない。 「主権回復の日」はまさしく「お祝いの日」ではなく、右、左を超えて日本人全員で厳粛に歴史に思いを致す日であるということになる。 そうであればなおさら私は「主権回復の日」の式典を歓迎する。 国民が戦後史を正しく知る事の重要性について私は繰り返し強調してきた。 なぜならば、その賛否は別にして、歴史が我々に教えてくれる真実は、日本は講和条約締結国との関係では主権を回復したが、同時に同じ日に米国の占領下に置かれて、以来今日に至るまで事実上の米国の占領状態が続いてきたということである。 それを知った上で、日本人が自らの意思として米国の事実上の占領であることを許す日米安保体制を今後も末永く維持すべきかどうか、その選択をいつかは行なわなければならないのだ。 その選択は決して政府が決めて国民に押しつけるものではない。 国民自らが選ぶべきこの国の方向なのだ。 私は日本国民の多くがそれでいいと判断するのであればそれに従う。 しかしその選択は、すべての日本国民が日米安保体制の実態を十分に知り、議論を重ねた上で行なわれなければならない。 決してTPPのような形で急いではならない。 憲法9条の改正と同じく様々な角度で国民的議論を起こさなければならない。 それはパンドラの箱を開くことだ。 野田毅議員は果たしてそこまでの覚悟で「主権回復の日」の式典を提案したというのか。 なによりも安倍首相は、そのような困難な問題を知った上で「主権回復の日」の式典を決めたというのか。 あの小泉首相でさえも先送りした「主権回復の日」の式典を、安倍首相は断行したというのか。 それはそのまま安倍首相の矛盾そのものである。 私はこれから4月28日の「主権回復の日」の式典までに至る1ヶ月あまりの間に、政治家やメディアの間でこの「主権回復の日」の式典に関してどのような議論がなされていくか、そしてどのような状況下で式典が行なわれるのか、楽しみにしている(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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