■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月19日第193号 ■ ============================================================== 遅すぎる照射レーダー事件の真相判明 ============================================================== 共同通信が中国軍の複数幹部に取材して、今年1月末に発生した中国軍によるレーダー照射事件の真相は艦長の独断の緊急判断だったと配信した。 それを18日の毎日や東京が報じた。 これは物凄い共同のスクープ取材であるが、時すでに遅しだ。 中国国防省は18日すかさず、使用したのは監視用レーダーであって攻撃用レーダー照射ではないという従来の立場を繰り返し、日本の報道を否定した。 このやり取りはもちろん平行線を辿り真相は謎のままに終る。 しかし私は共同通信の取材を信じる。 すなわちあの事件は、中国軍の単独行動であり、決して中国政府の意思による戦争行為ではなかったのだ。 しかし、それを確かめよ言うとせず安倍首相は公表を命じた。 事件が公表された以上、中国は応対に困る事になる。 すなわち、中国政府が承知の上でレーダー照射攻撃が行なわれたのなら、先に軍事行動を起こした中国政府は国際的に非難される立場におかれる。 だからといって中国政府が知らなかったのであれば、中国軍を抑えきれない、あるいは情報伝達がいい加減だった、などの内情が明らかになり、中国政府の面子丸つぶれだ。 だから監視用レーダーという事にして封印しようとしたのだ。 いまになって共同通信がスクープ取材し、発表しても中国政府はその報道を否定するしかない。 私がここで言いたい事は、この共同通信の取材が真実であるならば、私が書いた事がまさしく正しかった事が証明されたということだ。 すなわち私は事件が日本政府から発表された直後の2月6日のメルマガ第100号で書いた。 安倍首相はこの事実を防衛省から知らされた時、真っ先に行なうべきは、それを世界に公表するのではなく、極秘裏に中国政府と接触し、それが中国政府の確信犯であれば堂々と国際問題化して中国を避難し、そうでなければ中国の顔を立てて、何事もなかったかのように封印すべきだ、そうすることによって中国に貸しをつくりその後の日中対話のきっかけにすべきだ、と書いた。 安倍首相は見事にその逆を行なって中国との関係をどうにもならなくした。 今度の共同通信のスクープは極めて貴重なスクープであるが時既に遅しである。 もはやこのレーダー照射事件がどんな事があっても真相は明らかにされないだろう。 中国は面子にかけてそれを認めない。 この問題を蒸し返す事は、ますます日中関係をこじらせることになる。 その意味で共同通信の貴重な取材も、今頃発表するのではマイナス効果しかないということだ。 もちろん安倍首相にとってもこの共同通信の記事は都合が悪いのである(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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