■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月15日第184号 ■ ============================================================== 倉重奈苗という記者部記者に象徴される朝日の保守化、官僚化 ============================================================== きょう3月15日の朝日新聞の「記者有論」というコラムは、いまの朝日新聞を象徴するかのような記事である。 「対北朝鮮 米の日本防衛策引き出せ」という見出しで書かれたその記事は要旨次のごとくだ。 北朝鮮の核の脅威が高まる今こそ日本は米国から日本防衛について積極的な姿勢を引き出し、国民の不安感を払拭すべきだ。その為にも米国に働きかけて、あくまでも米国の核の傘が機能している事を内外に示すべきだ、と。 「日本を代表するリベラル紙」などというイメージはとっくに消えてなくなった朝日であるが、産経、読売と変わらないタカ派ぶりである。 しかし、私が注目したのはそれだけではない。 倉重奈苗という政治部記者と外務官僚の緊密さ、一体化を彷彿とさせる次のような書き振りにこそ私は注目したのである。 すなわち倉重記者は今度の北朝鮮の核実験直後のオバマ大統領の声明と、その後に行われた岸田外相とケリー米国務長官との電話会談に言及し、そこには北朝鮮の核攻撃に対して米国が核兵器で対応するという、いわば「核の傘」への言及がなかったことを指摘する。 そしてこの事は、北朝鮮が初めて核実験を行った2006年10月には、当時来日中ののライス国務長官が「『核の傘』による日本防衛は非常に強力な同盟上の義務であり、必ず実行する」と記者会見で明言した事と比較すれば、「様変わりだ」と書いている。 私が注目したのはその後に続く次のようなくだりだ。 「・・・もっとも、核実験後のオバマ大統領と安倍晋三首相の電話協議で大統領は『米国の核の傘により提供される拡大抑止を含め、日本への防衛コミットメントは不動だ』とも発言している。しかし、この発言は外務省が事前に働きかけた結果で、外務省幹部は『核のボタンを押す本人に言ってもらうことに意味がある』と打ち明ける・・・」 倉重奈苗という朝日の政治部記者の正体が見事にここにあらわれている。 外務官僚の懐に入って内部情報を取る。 しかしその情報は外務省が国民に宣伝する計算しつくされた情報だ。 すなわちオバマ大統領に働きかけてそう言わせた。ややもすれば日本軽視に傾きがちな米国に、同盟国の日本を忘れるなと釘を刺して日本の外交力で米国の核の傘を機能させた、これこそが対等な日米外交だ、と言っているのである。 そう書くことにより外務官僚の代弁役を買って出る。 その一方でそう書くことにより、自分は超一級の内部事情を得られる立場にあると宣伝する。 一石二鳥というわけだ。 この倉重奈苗という政治部記者は、外務官僚と一体化となっり保守化した今の朝日を象徴するような記者である。 そしてそのような記者が幹部になって朝日の論調に影響力を与えていく。 倉重奈苗という政治部記者は私が常日頃最も警戒してその記事をフォローしている記者の一人である(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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