□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年9月28日第724号 ■ ============================================================== 緊急発信―中国外相の国連演説に驚く ============================================================== きょう9月28日の午後2時から始まるフジテレビ「知りたがり」 の関係者から電話取材を受けた。 たったいま入手した中国の楊潔チ外相の国連演説をどう思うかと。 そしてその演説要旨を教えてくれた。 驚いた。 日本は名指しの言及をすることなく尖閣諸島の領土権を主張して 中国を刺激しないように遠慮したのに、中国は日本を名指ししたばかり でなく過去の日本の侵略やカイロ宣言やポツダム宣言に言及し、日本の 尖閣領土権の主張は戦後の国際秩序への挑戦であるとまで非難したのだ。 しかし、私がもっと驚いたのはその国連演説全体を貫く中国の世界 政治、経済に対する基本姿勢だ。 世界は激変の情勢下にあるという認識の下に中国は、自国の利益と世界 の利益を両立させて建設的な役割を果たすと宣言している。 そのためには平和、相互依存、互恵、無差別、公正さ、内政不干渉など の価値を最重要視すると言っている。 大小を問わずすべての国は平等であると言っている。 これは明らかに米国の一極支配に対するアンチテーゼだ。 ここまで中国は自信をつけたということだ。 そしてその演説の最後に中国は日本を非難する。 過去の誤りを直視しない不法な国、戦後の世界秩序を乱す違法な国で あると日本を貶めているのだ。 私はこの楊潔チ外相の演説を聞いて確信した。 中国は尖閣問題が表面化する以前から今度の国連では世界の大国中国を アピールする周到な演説を用意していたに違いない。 尖閣問題はその中国の戦略の中で降って沸いた格好のネタなのだ。 この際日本を徹底的に攻撃し、それまで棚上げしていた尖閣の領有権 を一気に中国に有利に傾けるつもりなのだ。 世界における地位において圧倒的に日本と差をつけるつもりであると いうことだ。 それに比べ野田首相の国連演説には世界に訴える日本外交の姿はない。 我々がいま考えなければならないのは尖閣問題についての領有権争い という小さな問題ではない。 大国中国を前にして、日本の世界戦略を語って世界の尊敬を得る日本を 取り戻すことだ。 残念ながら日本の政局はそれどころではない。 日本にはそれを語れる政治家はいない。 外務官僚にはそれをつくれる者はいない。 日本は尖閣問題で中国に負けているのではない。 世界を相手の外交そのもので負けているのだ。 私はフジテレビの担当者に中国外相の国連演説の印象をそうコメントした。 中国はけしからんと言いたかったフジテレビの担当者はそんな私のコメント に怪訝な顔をしていたが、果たして午後2時から始まる「知りたがり」では、 はそんな私のコメントが正確に流されるのであろうか。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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