Foomii(フーミー)

天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

尖閣問題に見る中国のしたたかさと日本のなさけなさ
無料記事

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年9月26日第717号 ■   ==============================================================    尖閣問題に見る中国のしたたかさと日本のなさけなさ  ==============================================================  今度の尖閣問題をめぐる中国の対応を見ていると実に周到な戦略がある ことがわかる。  その一つが日本の官民の要人を分断させることである。  すなわち対中強硬派と対中迎合派の分断である。  これは単に国内世論の分断にとどまらない。  日本の官民要人の分断である。  このような中国の分断戦略に対する日本の対応は心もとない限りだ。  日中国交正常化40周年記念式典は中国の一方的な対応によって延期 された。  しかしその一方で中国政府はたくみに日中友好7団体の会長や親中派 と見られる政治家などを中国に招待している。  呼ばれた顔ぶれをみれば鳩山由紀夫、田中真紀子、高村正彦、江田五月、 加藤紘一らの名前が上がっている。  いずれも中国との関係が大事だと言いそうな政治家たちである。  中国に招待された事を吹聴して忘れられようとしている存在感を取り 戻そうとする過去政治家だ。  しかしそれなりにまだ影響力を持っている。そこを見事について彼らの 言動を利用して日本の対中世論を分断させるのである。  因みに似非平和主義者である野中広務などは早々と中国に取り入って 謝罪発言などをしている。  さらにまた、25日には程永華駐日大使が都内のホテルで「中華人民 共和国建国63周年記念レセプション」を開いている。  日中国交正常化40周年記念をボイコットしておきながら自国の国慶節 の祝賀は予定通り行なう。  そしてそこに日本の要人を招待し、日本側から福田元首相や斉藤つよし 官房副長官、河野洋平前衆院議長などが出席している。  その席上で程永華駐日大使は、日本政府の国有化を一方的に厳しく批判 しながら日中友好関係は重要だと平気な顔をして話す。  そんな程永華大使のレセプションに1200人もの日本の要人が参加し、 日本批判の演説を聞いているのである。  日頃日本政府に辛口の米倉弘昌経団連会長までもが笑顔で握手する。  尖閣諸島を国有化し、しかもそれは中国を刺激しないために棚上げだと 言っているのにここまで激しく日本を攻撃する。  確かに野田民主党の説明の仕方は不十分であったかもしれない。  それでもここまで激しく日本が批判される筋合いはない。  これは明らかに中国の意図的な戦略だ。  この機会に激しく反応して尖閣問題に対する立場を一気に自国に有利に してしまうということだ。  予期せぬ激しい反応にあって日本側は当惑するばかりだ。  対中強硬論が高まる一方で、中国との関係を悪化させてはならないと いう国内世論が起きても不思議ではない。  ましてや中国進出を生き残りの機会ととらえていた財界にとっては中国 との関係修復は生命線だ。  そこをついた中国の巧みな日本分断戦略である。  しかし日中関係が決定的に悪化すれば中国としても失うものが大きい はずだ。  これはある意味で中国にとっても瀬戸際外交なのである。  いまこそ日本は冷静な中にも毅然とした対応を貫く戦略が必要だ。  そんな中で中国の招待を断った政治家がいる。それが宇宙人鳩山由紀夫だ。  断った真意は必ずしも明らかではない。  しかし緊迫する日中関係のおりから自分の言動が影響を与えてはならない とする鳩山由紀夫氏の言葉を額面どおりに受け止めるなら、それは中国懐柔 戦略に安易に乗らないという警戒であると見た。  今回ばかりは私はこの鳩山由紀夫氏の対応を素直に評価したい。                                 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

2009年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年7月19日に利用を開始した場合、2025年7月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年8月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する