□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月20日第477号 ■ ============================================================== TPP参加の遅れは日本のせいではない。米国が認めないのだ ============================================================== 日米首脳会談でも、そしてG8サミットでも、野田首相はTPP参加 表明をすることが出来なかった。そして今度のG20でもまた参加表明 をしなかった。その間にメキシコがTPP交渉参加を表明し、先を越さ れてしまった。消費税増税で決断したのだから、TPPでも早く野田 首相は決断すべきだ。そうしなければ日本はますます取り残されてしまう。 長々と書いたが、これがメディアが一貫して書いてきた事だ。 今度のG20を報じる各紙も、各紙がこぞってメキシコのTPP交渉 入りをとりあげ、その一方で日本がまた先送りしたことを書いている。 しかし、私が何度も書いてきたように、日本のTPP参加表明の遅れは、 決して国内の反対勢力のためではない。 国内で反対の声が上がろうとも、野田首相はその気になれば強行する。 それは消費税増税法案や大飯原発再稼動、さらには欠陥輸送機オスプレ イの沖縄強行配備の例ををみればわかる。 なぜTPP参加だけ参加が遅れているのか。 それは米国が認めようとしないからである。 この事を私は何度も指摘してきた。 そして6月20日の読売新聞が、その事を見事に認めている。 すなわち読売新聞は「TPP 日本の遅れ鮮明 年内交渉参加困難」 という大きな見出しを掲げて野田首相の国内調整ぶりを批判する一方で、 次のように書いているのだ。 ・・・日本、カナダ、メキシコは昨年11月のアジア太平洋経済協力 会議(APEC)に前後して、ほぼ同時に参加表明したが、メキシコが 先行することになった。TPPの旗振り役の米国にとっては、メキシコ がもっとも受け入れやすい相手だった。メキシコは貿易自由化に熱心で 米国と北米自由貿易協定(NAFTA)を結んでいる。カナダもNAF TAに加盟しているが、牛乳がバターなどの価格と供給を安定させる ため保護主義を検事しており米国が交渉入りをすんなり認められる相手 ではない。日本は米国にとって消費市場としては魅力的だが、多くの 重要品目で自由化に対応できない上、米自動車メーカーが日本の参加に 反対している。大統領選を前にしてオバマ大統領には日本の参加を認め るわけにはいかない事情がある・・・ なんの事はない。 メディアも知っているのだ。 日本のTPP交渉参加が遅れているのは日本のせいではなくもっぱら 米国が日本を参加させる気がないことを。 だったらそれを国民にはっきりと知らせるべきだ。 TPP交渉参加反対を叫んでいる者たち馬鹿を見ているということだ。 メディアは本当にたちが悪い。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)