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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

今なら戦争さえも起こせるような政治の空白であり野田翼賛体制だ
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年6月20日第478号 ■   ==============================================================     今なら戦争さえも起こせるような政治の空白であり野田翼賛体制だ  ==============================================================  消費税増税法案をめぐる政局ばかりに目を奪われている裏で、とんで もない法律がどんどんと作られている。  ただでさえ立法を官僚に丸投げしている政治家たちだ。  生き残りをかけた政局の下で法律審議などにかかわっている暇はない。  その裏で政局に関係のない官僚たちがやりたい放題だ。  きょう6月20日の東京新聞が、違法ダウンロードに罰則を科す規定を 盛り込んだ著作権法改正案がきょうにも成立すると書いている。  これは「秘密保全法案」や「コンピューター監視法案」とならんで、 この国を国家管理社会にしようとする法案だ。  さらにまたきょう20日には障害者総合支援法案が参院本会議で成立 するという。  この障害者総合支援法案もまた障害者切り捨て法案だ。マニフェスト 破りの骨抜き法案だ。  これだけでも許せないのにもっと驚くべき法案が成立しようとしている。  その事をインターネット情報で知った。  すなわち原子力規制委員会設置法案がきょうにも成立するという。  この法案は政府が国会に提出していた「原子力規制庁設置関連法案」に 対抗して自民・公明両党が対案として提出していたものであり、譲歩を 重ねる民主党が政府案を取り下げて、自民・公明両党案に同意して成立する という代物である。  問題はその内容である。  我々は原子力の安全性を一元化して強化するというところばかりに目を 奪われ、メディアもまたその独立性や指導性ばかりを書くが、実はこの法案 の中には原子力基本法の『民主・自主・公開』の「平和三原則」を骨抜きに する内容がもぐりこまされているというのだ。  その事を平和アピール7人委員会なるものが、6月19日に要旨次のよう な緊急アピールを発表して撤回を要求したという。 以下引用   2012年6月19日 世界平和アピール七人委員会 武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了 辻井喬  原子力規制委員会設置法案は、政府が国会に提出していた「原子力規制庁 設置関連法案」に対して自民・公明両党が提出していたものであり、政府案 が取り下げられて、自民・公明両党に民主党が参加した3党案として成立 しようとしている。  世界平和アピール七人委員会は、この法案の中に、説明なく「我が国の安全 保障に資する」という文言が加えられたことについて、ここに緊急アピールを 発表する。  国会議事録はまだ公開されていないが、自民党の資料によれば、「原子力 規制委員会設置法案」の第1条には、「この法律は、・・・原子力規制委員会 を設置し、・・・国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が 国の安全保障に資することを目的とする。」と書かれている。  我が国の原子力関連の個別の法律は、すべて日本国憲法のもとにある原子力 基本法の枠の中で作られている。そして原子力基本法の基本方針(第2 条) は「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨とし て、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、 国際協力に資するものとする」となっている。  歴代政府は、この基本法に抵触するから、原子力の軍事利用ができないとし てきた。  しかし、「我が国の安全保障に資する」という文言は、わが国の独立に脅威 が及ばぬように、軍事を含む手段を講じて安全な状態を保障することに貢献 すると読む以外ない。  このことに気が付いたためと思われるが、今回成立させようとしている原子 力規制委員会設置法案の附則第11条は、原子力基本法の一部改正にあてられて いる。それによると、原子力基本法の基本方針に第2条2を追加し、「2前項の 安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康 及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とし て、行うものとする」と改定するというのである。  国内外からのたびかさなる批判に耳を傾けることなく、使用済み核燃料から、 採算が取れないプルトニウムを大量に製造・保有し、ウラン濃縮技術を保持し、 高度なロケット技術を持つ日本の政治家と官僚の中に、核兵器製造能力を維持 することを公然と唱えるものがいること、核兵器廃絶への世界の潮流に反して、 日本政府が米国に対して拡大抑止(核兵器の傘)の維持を求め続けていること などを思い浮かべれば、原子力基本法第2条の基本方針の第1項と第2項の間に、 矛盾を持ち込んで実質的な軍事利用に道を開くという可能性を否定できない。  宇宙基本法の改正によって、「わが国の安全保障に資すること」を追加した ことによって、軍事利用の道を開いたことを忘れることもできない。  世界平和アピール七人委員会は、このような原子力規制委員会設置法案は、 国益を損ない、禍根を残すものと考え、その審議を直ちに中止することを 求める。                             引用終わり  この世界平和アピール7人委員会の緊急アピールの持つ意味は深刻で重い。  しかし野田大連立政権はまるで聞く耳を持たずに成立させようとしている。  メディアもまた何も書かない。  国民は知らないままだ。  いまの野田政権は戦争さえも起こせるほどの大政翼賛体制である。                                了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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