□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月14日第455号 ■ ============================================================== 野田首相のままではこの国は危ういと思う ============================================================== 消費税増税強行にしても原発再稼動強行についても、そして自民党 案の丸呑みにしても、野田首相が行なおうとしている事は、国民の意志を 無視している。 このままでは国民生活は危うい。 しかし私が野田首相に真の危うさを感じるのはその国防観であり安全 保障政策である。 報じられるところによれば野田首相は13日の国会でのやりとりで驚く べき発言を連発している。 一つは丹羽発言についてである。 東京都による尖閣諸島購入計画に懸念を表明した丹羽宇一郎駐中国大使 の発言に対し、これを「国益から逸脱する」不適切な発言だったと述べた というのだ(14日読売ほか)。 新聞報道では国会答弁の詳しいやり取りは書かれていないが、おそらく 実際の答弁でも、丹羽大使の発言のどの部分が、どういう観点から国益に 反するのか、そして野田首相の言う国益とは具体的に何か、などについて は明確に語られていないに違いない。 なぜならば12日のメルマガ448号で書いたように、尖閣諸島購入計画 に関する丹羽発言については本質についての議論がなにも行なわれていない からだ。 それにも関わらず「国益逸脱」だと言い切る野田首相は、明らかに石原 慎太郎ら国家主義者と同質だ。 そしてもう一つの野田首相の国会発言がオスプレイの沖縄配備に関する 発言である(14日産経ほか)。 民主党沖縄県蓮が、オスプレイの沖縄配備を進めようとする森本防衛相の 辞任を求めたことについて、「あってはならない」と批判したという。 オスプレイの沖縄配備については民主党の沖縄県連のみならず関連自治体、 住民が一斉に反対している。 それにもかかわらず、そのオスプレイ配備を、米国が安全だと言っている のだから安全だ、環境に問題ないと言っているのだから問題ない、といわん ばかりに沖縄に受け入れを迫る。 そんな森本防衛相の更迭要求を「あってはならない」と一蹴する。 これほど沖縄を無視し、差別し、無条件に対米従属に走る首相を私はいま だかつて見た事がない。 野田首相は危険な政治家だ。 消費税増税や原発再稼動を強行し国民生活を危うくする。 しかし、野田首相がより危険なのはその国家主義的なところである。 それでいてこの上なく対米従属的であるところだ。 しかもその政策は、彼自身の十分な知識や定見による裏づけられている とはとても思えない。 知性ではなく思い込みで事を運ぶ。 国益という言葉を安易に持ち出し国家観、国防論を語る。 このような首相はかつていなかった。 このような政治家が首相であり続けることは危ういと思う。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)