□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月30日第417号 ■ ============================================================== 円と人民元の直接取引開始の衝撃(続) ============================================================== 私は5月27日のメルマガ第411号で書いた。 円と人民元の直接取引が来月から開始されるという衝撃的なニュース が飛び込んできた、と。 これほど重要なニュースなのになぜそれが公式発表として行なわれない のか、と。 これほど日中経済関係の緊密化に資する朗報なのに、なぜそれを評価 する記事が見られないのか、と。 その後もこの円と人民元の直接取引開始に関する記事はほとんど流され なかった。 そう思っていたらきょう(5月30日)の各紙が一斉に報じた。 それは安住財務大臣が29日になって、やっとこの直接取引が6月1日 から東京と上海の市場で同時開始されると公式に発表したからだ。 それを報じるきょう(5月30日)の各紙を読んで私の関心はさらに 広がった。 まず驚くべきは、このような重要な政策の公式発表が、6月1日の開始 直前の5月29日に行なわれたという異常さだ。 そこには政府の明らかな意図がある。 この問題について事前に大騒ぎされては困るという事情があったに 違いない。 米国を刺激しないように細心の注意が払われているのだ。 二つ目に私が驚いたことは、5月30日の読売新聞が書いている次の ような評価だ。 「中国は当初から積極的だった」(国際金融筋)、という。その理由は、 「米国は敵対的な国に口座凍結などの強硬措置をとることも多い。中国は 人権問題などで米国が強硬措置をとれば、中国の経済的活動に大きな打撃 を及ぼす可能性がある」、だからその米国の制裁措置に対抗する策を今か ら講じておくというわけだ。 痛烈な米国非難だ。これが米国を刺激しないはずはない。 さらにまた読売新聞は直接取引が日本にもたらすメリットを次のように 明確に書いている。 「・・最も成長が期待されるアジア地域の2大経済大国の通貨の利便性が 高まれば、世界的なマネーの動きがドルから円や元に切り替わる可能性も ある。現在のドル基軸体制を大きく揺るがし、日・中・米さらにはユーロ 通貨のパワーバランスを一変させるかもしれない・・・」 これこそが日本が目指そうとしてこれまで出来なかったことではないか。 米国が最も警戒すべきことではなかったのか。 果たして米国はこのまま黙って見過ごすのだろうか。 安保・外交では対米従属一辺倒の日本でも日本経済の生き残りの為に は米国から自立する覚悟を決めたのか。 この政策決定を下したのは誰なのか。 それとも、すべては米国の了解と支持の下に、対米従属の官僚たちが 書き上げたシナリオどおりなのか。 円と人民元の直接取引開始とその後の展開から目が離せない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)