□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月25日第406号 ■ ============================================================== 平和な太平洋諸島に米軍を持ち込む対米従属の日本外交の罪 ============================================================== きょう5月25日に沖縄で第6回目の日本と太平洋島嶼国の首脳会議 (太平洋・島サミット)が開かれるという。 およそ日本国民には関心のないこの首脳会議であるが、今回に限って は特別の意味を持つ。 そのことについて解説したい。 もともと南太平洋には豪州、ニュージーランドと南太平洋諸島の独立国、 自治政府からなる地域経済協力機構である南太平洋フォーラム (South Pacific Forum、SPF) があり、その後継組織としての太平洋諸島フォーラム があった。 日本がその太平洋諸島フォーラム加盟国との関係を強化する目的で創設 したのが、1997年に初開催を開いた日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議 である。 以後3年毎に日本国内で開催されてきている。 この日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議は、日本が南太平洋諸島の国々 経済・技術支援し、人的交流を深めるといったおだやかなものであった。 ところが今回から米国が参加することによって俄然その意味合いが 変わることになった。 そのことについてきょう5月25日の読売新聞は「日米豪で中国けん制」 という見出しで次のように書いている。 すなわち、資源確保を狙う中国が島嶼国への影響を強める中、日本は 初めて米国を招待し、日米豪3カ国で島嶼国との連携を再強化したい考え だ、と。 なんという残念なことだろう。 平和な南太平洋の島々が米中の軍事対立の舞台にさせられるのだ。 米国を招待したのは日本だという。 しかしその招待を日本が自発的に行なったはずはない。 中国の影響力がアジアに及ぶ事を警戒する米国の要求であるに違い ない。 米国の参加しないアジアの地域機構を認めない米国の要求であるに 違いない。 米国が日本に圧力をかけて招待させたのだ。 あるいは日本が米国の顔色をうかがって招待したのだ。 しかし、米国が参加するということは安全保障問題が主要な議題と なる。 日本・太平洋諸島フォーラムは太平洋諸島の自立と経済発展を 目指す平和な交流の場であった日本・太平洋諸島フォーラムが一変して 中国と米国の軍事的敵対関係の場と化してしまうのだ。 かつて米国と戦って南太平洋の楽園を戦場と化した日本は、今度は その南太平洋の島々を米中軍事対立の舞台にさせようとしているのだ。 対米従属の外務官僚の罪はあまりにも大きい。 しかし私が驚いたのはこれを報じる朝日新聞の社説だ。 次のような書き方をして米国の参加を歓迎している。 「・・・この地域では最近、中国の存在感が高まっている。天然資源 の獲得をにらんで援助額を急増させたり、フィジーやトンガなどと 軍事交流を活発化させたりしている。こうした動きに、米国だけでなく、 ロシアやフランスも関心を強めており、世界的に注目されつつある地域 といえる。だから今回、日本の招待で米国の国務省幹部が初めて参加した ・・・」 対米従属においては外務官僚と朝日新聞は一体だ。 その迎合振りを競っている。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)