□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月22日第398号 ■ ============================================================== 日本はサミット至上主義から脱却すべきである ============================================================== 5月18日のメルマガ第389号で私は書いた。 毎年のように囁かれるサミット不要論であるが、今年のサミットは 事のほかその存在感がないサミットであると。 終わってみてやはりそうだった。 メディアもそれを認めている。 そんな中で、それでも腐っても鯛だといわんばかりの二つの論評に 私は注目した。 その一つは5月21日の読売新聞の柴田岳アメリカ総局長の「G8も 使いようだ」という要旨次のような論評だ。 決定力はなくなっても、日本にとっては国際政治全般を協議する希少 な外交の舞台だ。国連安保理常任理事国になれず、北大西洋条約機構 (NATO)の加盟国でもない日本にとって、この現実は忘れてはいけ ない、と。 読売新聞のアメリカ総局長にして、いや読売新聞のアメリカ総局長で あるからこそ、この発想だ。 西側大国の仲間入りさえしてればいいという度し難い西側主要国志向 の発想だ。 もう一つは5月21日の毎日新聞の「原点回帰が問うもの」という 社説である。 その社説の趣旨はこうだ。 すなわち石油危機への対応策について胸襟を開いて話し合うために 集まったのが初回のランブイエ会議だった。 その精神に回帰して世界危機の解決策を話し合う首脳会議を取り戻そ うと言うわけだ。 しかし、この考えそのものがもはや時代遅れなのだ。 これはあまり知られていないことなのだがランブイエサミットの原点 は石油価格の値上げを打ち出した産油国に対する西側主要国のギャング アップであった。 原油をはじめとした一次産品に依存する開発途上国が、その資源の 値上げをテコにして富を独占する先進国に対して経済ナショナリズムを 高めつつあった。 それを許さないと資本主義大国たちが集まって対決策を練り上げる ための会議であったのだ。 そのような先進国と開発途上国の対決姿勢の行き着く先が今日の経済 の行き詰まりにつながったのだ。 G20の台頭と、G8の相対的国力の低下に繋がったのである。 もはや世界経済は相互依存と共生なくしてはありえない。 G8が自分たちの経済優先の考えで世界経済を動かそうとする発想自体 が通用しなくなったのである。 G8は、「使いようがある」ことでも「原点復帰する」ものでもない。 世界のすべての国が対等な立場に立って、ともに共存、共栄できる あたらしい枠組みを見つけ出さなければならない時が来ているのだ。 日本は率先してそれを模索すべきだ。 日本は西側主要国の一員にとどまっていればいいという発想を捨て、 世界経済の調和ある発展のために貢献することを考えるべき時である。 了 おしらせ ■天木×植草リアルタイム時事対談 http://foomii.com/files/interview/nightlive2012/ ●配信日時:2012年5月26日(土曜日) 19時00分~20時30分放送予定 今回のテーマは、小沢裁判の無罪判決とその後の控訴の持つ意味。 そして小沢氏の復権はあるのか。あるとすればその最善のシナリオは 何かを、二人が自らの持つ情報と、その考えについて思う存分に語り ます。 その他にも最近の国内、国際情勢について時間の許す限り語ります。 有料メールマガジン読者は「リアルタイム時事対談」生配信を無 料で視聴いただけます。生配信の視聴方法につきましては、26日当日 に有料メールマガジン案内します。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)