□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月5日第356号 ■ ========================================================= 先制攻撃が公然と語られる時代の怖さと憲法9条の先見性 ======================================================== 2003年、米国が先制攻撃を正当化してイラク戦争に踏み切った。 いわゆるブッシュドクトリンだ。 あの時世界は衝撃を受けた。 世界最大、最強の軍事国家である米国は何でもできる。国際法を 平気で踏みにじることが出来る、と。 あれから10年近くたって、もはや先制攻撃は当たり前のように なったごとくだ。 イスラエルがイランの核施設を先制攻撃すると繰り返すのはまだ いい。 米国とイスラエルはどうしようもない国だと罵っていればよい。 ところが韓国の夕刊紙、文化日報が5月3日に次のように報じた 事を5月4日の東京新聞の記事で知った。 北朝鮮が核攻撃を仕掛けてくると判断した場合、韓国は北朝鮮を 先制攻撃する方針が確定したと、韓国政府筋が話した、と。 この方針に従って北朝鮮の地下軍事施設を攻撃するための爆弾を 実戦配備中であると。 本当だろうか。 そうだとしたらブッシュドクトリンだ。 しかしこれも北朝鮮という特殊な国に対する牽制であると考えれ ば例外視できる。 そう思っていたら今度はロシアだ。 5月5日の読売新聞が報じている。 モスクワで開かれていたロシア国防省主催の国際会議において、 ロシアが表明したという。 (欧州に配備されたNATO(北大西洋条約機構)のロシア向け ミサイルシステム構築)計画がロシアの懸念を無視する形で進めば ミサイル防衛施設への先制攻撃も排除しない、と。 この国際会議にはNATO加盟国のほか日本や中国など約50カ 国が参加していたというから驚きだ。 やがてインドとパキスタンが言い出すのだろうか。 そして日米インドに包囲された中国が言い出すのか。 昔の戦争ではそういう事はあり得なかった。 しかし現代の戦争は核ミサイル攻撃の応酬である。 瞬時に国家の存亡が決まるという意味でも先制攻撃は止む無しと いう声が聞こえそうだ。 しかしだからこそ先制攻撃は認めてはならないのだ。 安全保障を議論する時、果たして識者は本気で核戦争を前提として 議論しているのだろうか。 しかしそんな核戦争に勝者はいない。 核戦争の危険が近づけば近づくほど戦争は出来なくなる。 そのことに皆が気づけば世界は憲法9条の先見性をあらためて 知らされるに違いない。 日本はその事を世界に胸を張って主張すべきである。 憲法9条こそ最強の安全保障政策であると私が信じる理由が ここにある。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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