□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月3日第350号 ■ ========================================================= 田中角栄と公共事業と平和主義 ======================================================== 憲法記念日であるから平和主義にちなんだ話題について書いて 見たい。 財政再建をめぐり、財務官僚主導の増税と緊縮財政を優先する 政策に対し、景気回復を優先して税収を上げる事を優先する考え があることは周知の事実であるが、ここに来て公共事業の有効性 を指摘する記事が目立つようになった。 たとえば4月30日の朝日の社説だ。 「社会インフラ 新設から更新へかじを」と題するその社説は、 一方において経済成長でパイが大きく広がる時代はとうに過ぎた と国交省官僚主導の大型公共事業をどんどんと打ち出す姿勢を警戒 する一方で、老朽化したインフラの更新は避けられず、公共事業 は新設ではなく更新へ舵を切る時期だ、と訴えている。 きょう(5月3日)の産経新聞「経済が告げる」では、消費税 反対論者の田村秀男編集委員が、日銀が紙幣を増刷して劣化した 社会資本(インフラ)を補強しないと大災害に耐えられなくなる と警鐘を鳴らしている。 そんな中で私が注目したのは4月30日の朝日にあった小長啓一 元通産省事務次官のインタビュー記事である。 田中角栄元首相の「日本列島改造論」を書いた一人である小長氏 の回想である。 「東京へ、東京へ、という人とモノと金の流れを、地方へ逆流さ せようじゃないか」 「同じ日本人なんだから、どこに住んでいても一定以上の生活が できる体制にしようじゃないか」 「君ら、酔って丸の内でひっくり返っても、すぐ救急車で運んで もらって、一晩休めば命に別状はない。同じことを北海道でやった らどうなるか。そういう格差はなくそうじゃないか」 確かに公共事業が悪いのではない。 利権のために無駄な公共事業が行なわれるから悪いのだ。 そしてここからが、このメルマガで私が書きたいことである。 官邸で田中角栄首相に会ったハーマン・カーン(米国の未来学者) 氏が語った言葉が忘れられないと小長啓一氏は次のようにその時の カーン氏の言葉を述懐する。 「日本の首相がこういう本を書いたのは素晴らしい。これで日本 は軍事大国でなく、平和大国に向かうと確信した」 有効需要を生み出すために戦争を繰り返す米国人から見れば田中 角栄の日本列島改造論は直感的にそう映ったわけだ。 そういえば田中派と対抗した清和会は、今も昔も官僚を重視する 戦争志向の派閥である。 小沢一郎はいまこそ地方や庶民と向かい合う田中角栄の平和主義 を見習うべきだ。 小沢一郎の復権があるとすれば、それは田中角栄の原点に戻る時 であると私はこの小長氏のインタビュー記事を読んで確信したので ある。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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