□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月2日第348号 ■ ========================================================= 木村伊量新朝日新聞社長に対する私からのメッセージ ======================================================== 野田首相の訪米に関する新聞論調についてもう一つだけ書いて おきたい。 「さらば日米同盟」を唱える私にとっては見逃せない論調だった からだ。 「さらば日米同盟」などとは決して口にしない一億総保守化の大手 メディアの中にあって注目すべき論調だったからだ。 しかもそれが日米同盟礼賛の朝日新聞の論調であったから私は大き な関心を持って読んだ。 5月2日の朝日新聞の社説は「日米防衛協力 このなし崩しは危うい」 と題して要旨次のように書いている。 すなわち野田首相はオバマ大統領との日米共同声明でアジア太平洋 地域での日米防衛協力強化によって「日米同盟は新たな高みに達した」 と語った。 ことは日本の防衛政策の根幹にかかわる問題だ。国内で十分な議論も しないまま、首脳同士で勝手に「高み」に達してもらっては困る、と。 まさしく私が言うようなセリフだ。 しかも次の諸点に具体的に触れていずれも憲法9条を逸脱するおそれ があるとまで言う。 米軍との共同訓練は専守防衛の自衛隊の定義から逸脱しないか。 武器扱いされる巡視船をフィリピンにODA供与していいのか。 米軍再編の見直しにまぎれて米軍共同訓練場建設の費用肩代わりを 引き受けていいのか。 そして「野田首相や外務・防衛両相らに国会での明確な説明を求める」 とまで言う。 極めつけは立野純二アメリカ総局長の要旨次の論説だ。 今度の首脳会談は、いつの間にか、日米安保条約体制が日本列島の 防衛の枠組みを越え、アジアの安定装置へと変貌する節目になった、と。 「対等な日米関係」を掲げていた民主党政権が、自民党政権もでき なかった米軍との一体化に突き進んだ。 それは今の憲法解釈が禁じる「集団的自衛権」の行使にもなり かねない。 そんな重い国策の変更を首相は国民に十分説明していない、と。 これも私が「さらば日米同盟」で言い続けて来たことだ。 だったら何故朝日は日米同盟の深化に疑義を呈しないのか。 何故朝日は憲法9条と日米安保体制の二つを受け入れた日本国民の 叡知などと、ごまかすのか。 おりしも明日は憲法記念日だ。 野田首相の訪米を契機に朝日新聞も平和憲法重視の姿勢に戻って あらたな論陣を張るべきだ。 かつて霞グラブ(外務省詰め)の記者として付き合ったよしみで 私は木村伊量(ただかず)新社長に、祝辞とともにそう伝えたい。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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