□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年4月21日第325号 ■ ========================================================= 自衛隊の国連平和維持活動参加20周年に思う ======================================================== 藤村修官房長官は4月19日の記者会見で発表したという。 自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に参加して今年で20年に なる事を記念して6月19日から全国の郵便局で記念切手を販売 する、と。 もう20年もたったのだ。 国際連合の国連平和維持活動(Peace Keeping Operation)等に 協力するために、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する 法律(いわゆるPKO法)」が出来たのは1992年6月19日で あった。 以来カンボジア派遣をかわきりに多くの国へ自衛隊が派遣され てきた。 それが世界の平和に本当に貢献するものであればいいだろう。 しかしその実態は日本政府のご都合主義に振り回された20年 だった。 派遣される自衛隊員を批判しているのではない。彼らもまた 犠牲者なのかもしれない。 責められるべきはこの国の指導者たちである。 政権政党の政治家たちと外務・防衛官僚たちである。 自衛隊制服組幹部たちである。 憲法9条を遵守するならそもそも自衛隊の海外派遣などありえ ないし、派遣する義務もない。 加盟国はそれぞれの出来る範囲で平和に貢献をすればいいのだ。 世界の平和に貢献するというのなら憲法9条を掲げ、その遵守 に徹すればいいだけの話なのである。 それこそが世界のどの国も真似の出来ない最大の平和への貢献 である。 それなのに国際貢献という名で20年前に自衛隊の海外派遣を 立法化した。 なぜか。 憲法9条改正を狙う政治家の声があったからだ。 無能な外務官僚の対米従属であり、外交の幅を拡げるなどという 格好付けである。 自衛隊組織の強化・拡充を狙う防衛省・自衛隊幹部の野心である。 それでいて都合のいい時だけ憲法9条を持ち出す。 その任務は安全な場所における人道援助、インフラ整備ばかりだ。 しかしそうであれば自衛隊を派遣しなくも十分だ。 危険な場所には行かないが武器使用は認めさせろといって憲法 9条を拡大解釈する。しかし決して危険はおかさない。 だから重武装をしながら他国の軍隊に守ってもらうという世界の 軍隊から見れば身勝手な珍現象が起きるのだ。 わが国の自衛隊海外派遣の矛盾を長々と書いた理由は、その矛盾を 象徴する二つの動きが最近の報道で見られたからだ。 ここからがこのメルマガで言いたかった事である。 一つは南スーダンへの自衛隊派遣の立ち往生である。 派遣前に何度も調査団を出して安全な場所を探して自衛隊が 派遣されたのは今年の1月だった。 それからわずか3ヶ月でスーダンと南スーダンの内戦が激化 して政府は慌てている。 南スーダンの情勢が不安定であることは当初からわかりきって いたのに初めから派遣ありきだった。 その見通しの甘さを批判するのではない。 この程度で何を慌てているのかということだ。 南スーダンの情勢不安は国境沿いの内戦だ。 国境から離れた派遣先のジュバには危険は及ばない。 もちろん危険なテロとは関係ない。 それでもこの動揺ぶりだ。 そんなに危険を恐れるのならはじめから南スーダンに派遣など しなければよかったのである。 自衛隊の海外派遣などやめればいいのである。 もう一つはシリア国連監視団の動きである。 アサド政権の反体制派弾圧を停止させ、監視させるために潘基文 国連事務総長が国連監視団の派遣を急いでいる。 停戦監視に実績のある加盟国を中心に派遣要員を集めようと日本にも 要請を検討しているという(4月20日朝日)。 日本は長年にわたってゴラン高原の国連平和維持活動に協力して来て いる。 本来ならば日本は率先してこのシリア監視団に手をあげて国連の平和 維持活動に協力すべきだ。 ところがシリア監視団に自衛隊を派遣するという声はまったく出て こない。 なぜならば今シリアに自衛隊を派遣することは危険過ぎるからだ。 ゴラン高原派遣と違ってテロに巻き込まれるおそれが強いからだ。 わが国自衛隊の国連平和維持活動は矛盾に満ちた苦渋の選択の連続 であった。 憲法9条を拡大解釈して派遣する以上、これからもその場しのぎの ご都合主義が繰り返されるだろう。 6月19日に発売される記念切手には、そういうジレンマが込められ ているのである。 了 ──────────────────────────────── 配信会社フーミーからのお知らせ 4月28日(土)に【天木×植草リアルタイム時事対談】第4弾リアル タイム配信が行なわれます。 ■天木×植草リアルタイム時事対談 http://foomii.com/files/interview/nightlive2012/ ●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者) ●配信日時:2012年4月28日(土曜日) 19時00分~20時30分放送予定 今回は判決が下される(4月26日)直後の対談でもあり「小沢一郎氏 裁判」とは何だったのかについて90分間徹底討論します。 また、今回は視聴者のみなさんからの質問を事前に募集、対談中にお ふたりが直接回答します。 ■質問はこちらから ⇒ http://enq-maker.com/bjjBmmY 本有料メールマガジン読者さまは「リアルタイム時事対談」ナマ配信を 無料で視聴いただけます。ナマ配信の視聴方法につきましては、28日当 日に有料メールマガジンでご案内します。 記事をご購入いただければ、アーカイブのURLとパスワードが記載され たメルマガが届きます。アーカイブページにアクセス後、メルマガ内 に記載しているパスワードを入力してご視聴ください。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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