□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年4月10日第293号 ■ ========================================================= 国民必読の書、伊藤貫著「自滅するアメリカ帝国」(文春新書) ======================================================== 日米軍事同盟から決別し、自立しなければ日本の将来はない。 私はこの事をあらゆる機会を唱えて主張してきた。 日米安保体制といい、日米同盟といい、およそそれに反対する者 はいわゆる「左翼」と相場が決まっている。 しかし、「右翼」的な論者の中でもそれを唱える者がいる。 その筆頭が伊藤貫という外交評論家である。 そして日米軍事同盟に正面から異を唱えるがゆえに、伊藤氏もまた 「左翼」と同じように、この国の支配者側から相手にされない。 いや、むしろ左翼以上に警戒、排斥される。 なぜならば左翼のようなイデオロギーの立場の違いから来る反米 ではなく、現実主義的、理論的な立場から日米同盟は日本のために ならないと本質を衝くからである。 だから伊藤氏はメディアが一切取り上げない。 そのメディアにかわって私が紹介する。 伊藤氏の最近著である「自滅するアメリカ帝国 日本よ、独立せよ」 (文春新書 2012年3月20日初版)は、現下の国際情勢や野田 民主党政権の対米従属外交を見るにつけても、極めてタイムリーな書 である。いまこそ国民が目を通すべき必読の書である。 その書において伊藤氏は繰り返し次のように主張している。 そもそも米国は日本を信用せず、日本の自主防衛を認めない国だ。 そんな米国が日本と安保条約を結んだのは冷戦のために日本をアジア の反共の砦として利用するためであった。冷戦なき後の米国はおごれ る一極軍事支配の国となり、ますます日本を軍事的に利用するように なった。そのような米国の本心に目をつむり、米国の相対的力が低下し、 世界が多極化するなかで、いまなお根拠なく日米同盟永久論を叫び続け るこの国の親米保守という名の対米従属の支配たちは日本を滅ぼす。 いまこそ国民は自主、独立の日本をめざすことに目覚めなければなら ない、と。 私が日頃主張している事をこれほど見事に言い当てている人物を 私は知らない。 もちろん伊藤氏と私の考えは自主防衛論において180度その立場 が異なる。 伊藤氏はみずから認めるようにバランスオブパワーという古典的 国防論に立ち、憲法9条を否定し、国防軍を強化するという考えの 持ち主だ。 それゆえに平和論者たちや左翼がもっとも嫌う人物だ。 そんな人物を称賛するとは何事かという批判が聞こえそうだ。 しかし私は戦後の日本において、国民にとって最も実害を与えて きたのは親米保守という仮面をかぶった対米従属の支配者たち(政治 家、官僚、財界、メディア)であると思っている。 その対米従属者たちがこの国の支配側に立って戦後の日本をつくり、 そしていまなお支配者側に立ち続けていのだ。 まず国民が目覚めるべきは対米従属からの自立である。 その後にどのように日本を守っていくかはおのずと答えは明らかに なる。 伊藤氏のいうような軍事力を強化して自主防衛を高めるという選択 肢はない。 国民は決してそれを支持しない。 憲法9条の精神を下に、専守防衛の自衛隊とアジア集団安全保障 体制の確立をめざす自主外交こそが日本に残された唯一の選択である ことに気づく時が必ず来る。 重要な事は、これ以上対米従属の日米軍事同盟体制を固定化して はいけないということだ。 急がれるのは日米同盟から対米自立への意識改革である。 本当の敵を見誤ってはいけない。 最強の敵は親米保守と言う仮面をかぶった対米従属主義者たちで ある。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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