□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年4月5日第279号 ■ ========================================================= 次期戦闘機F35の導入計画破綻にみる日本と欧米の対応の違い ======================================================== 「F35 日本の計画破綻」 こういう見出しの記事が3月31日の産経新聞についに出るように なった。 ついに米国防総省がF35の開発・調達計画の2年延期を明記した 報告書を発表したからだ。 もともとF35の調達は無理があった。 それを何度も私は指摘してきた。 まともな議論もせずに野田民主党政権はよくもF35の導入計画を 決めたものだ、と。 導入をしばらく見合わせて日本の安全保障政策のどこに支障が起き るというのか、と。 その無理がもはや米国側の決定で動かない証拠となって国民の前に 明らかになったのだ。 私がこのメルマガで指摘したいことは、この米国の報告書発表に 対する彼我の対応の違いである。 野田民主党政権はそれでも自らの非を認めようとしない。 驚いたことに田中直紀防衛大臣は3日の閣議後の記者会見で「(米国 政府と)提案通りの納期、価格を厳守してもらうよう折衝を行っている」 と答えている。 もちろんこれは田中直紀大臣の考えから出てきた言葉ではない。 防衛官僚の書いた答弁をオーム返しする田中大臣であるから、これは 防衛官僚の言葉である。 米国防省が公式に開発調達計画の延期を決定したというのに、どう して納期と価格の変更を厳守しろと言えるのか。 そんなことが米国との交渉で実現するとでもいうのか。 現実離れした保身のための言い訳だ。 欧米諸国の対応を見るがいい。 すなわち、同様にF35の調達を計画していたカナダ国防省はその 計画に不備があったと素直に認め、イタリアも、オーストラリアも調達 見直しを決めた。 米国でさえもマケイン米上院議員が昨年の12月の時点で「一言で言 えばF35開発・生産計画はスキャンダルであり、悲劇だ」と述べて 米政府に正しい対応を求めている(4月5日産経新聞)。 ところが日本の国会はどうか。メディアはどうか。 予算要求の段階でこうなることが分かっていたにもかかわらずまとも な議論もせず、初めに「F35導入ありき」で決定して、なお非を国民に 詫びようとしない政府。 それを厳しく追及しようとしない政治家と大手メディア。 国民の税金をこんないい加減な使い方をしておきながら消費税増税を 強行しようとする野田民主党政権とそれを支持する大手メディア。 次期戦闘機導入をめぐる彼我に違い一つをとっても日本の政治がなぜ 行き詰まるのかがわかる。 了 ────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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