□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月28日第252号 ■ ========================================================= 最後まで誰もわからずに終わった郵政民営化問題 ======================================================== ここにきて郵政民営化改正法案の記事が新聞紙上によく書かれる ようになったがこれほどわからない記事はない。 わからないままにどうやら郵政民営化改正法案が成立する見通し になったという事だけははっきりしている。 そうだとすればあの郵政民営化問題とは一体何だったのか。それを わかりやすく説明してもらわなくてはならない。 今日の各紙を見ると、自民・公明両党が郵政民営化改正法案で合意 し、民主も国民新党もそれに応じて成立することになる見通しである という。 小泉首相が政治生命をかけて断行した郵政民営化が終わった瞬間だ。 いくら政界を引退したとは言え小泉首相はよくも黙っていられる ものだ。 黙っていられるということは、小泉首相にとっては郵政民営化法 など最初からどうでもよかったということになる。 いや、そもそも小泉首相にとっての郵政民営化とは、自分の言う 事を聞かなかった郵政官僚や特定郵便局長をやっつければいいだけ の話だったのだ。 それを証拠に、郵政民営化の最大の問題である郵貯、簡保の巨大な 資金運用の自由化問題について侃侃諤諤の議論がなされていた時、 小泉首相はまるで無関心だった。 その一方で郵政民営化は小泉・竹中の売国的対米従属だと言って 反対した亀井静香はどうか。アメリカに殺されてもいいとまで言って いた。 郵政民営化をもとに戻すのが国民新党の一丁目一番地だと言って 連立政権を続けた亀井静香は今度の改正劇で終始声がない。 自民・公明の合意に任せてそれを追認するだけだ。 政権政党の民主党に至っては結論を先送りするばかりだった。 小泉首相が断行した郵政民営化とは何がよくて何が悪かったのか。 今度の改正で何が改善されたのか。 どの記事を見てもまともな解説をしているものがない。 そして極めつけは3月24日の朝日新聞の社説である。 「郵政グループはこれまで、政治の混乱の中で経営の方向性を定めら れず経営が悪化していたが、ようやく将来象が示された」、と。 これまでの民営化は間違いで日本郵便は経営が悪くなったと言って いる。 これははっきりしている。 しかしその一方でこうも言っている。 「国民の利便性を維持、向上させるため、経営の合理化を加速させる 必要がある」、と。 この改正ではまだ不十分だと言っているのだ。 そしてさらにこう言っている。 国有化に戻れば民業圧迫になり米国を怒らせてTPP参加の障害になる、 収益性の高い会社にして株が売れるようにして復興財源をつくれ、といい ながら、全国一律のユニバーサルサービス維持につとめろと言う。 どっちなのだ。 郵便事業は公共性を重視すべきなのか、民間企業に徹底すべきなのか。 さっぱりわからないまま小泉郵政改革劇は終わり、国民は初めから 終わりまで何が何だかわからないままだ。 気の毒なのは振り回されっぱなしの日本郵便の従業員である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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