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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

形だけの「破壊命令」を笑う
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年3月25日第247号 ■     =========================================================   形だけの「破壊命令」を笑う                                                                ========================================================  北朝鮮の「人工衛星」打ち上げ予告に対し、政府は3月30日に も安全保障会議を開いて自衛隊に破壊措置命令を発する方向で最終 調整に入ったという(3月25日読売)。  かつて1988年―90年にかけて私も安全保障会議事務局の 審議官としてこの会議を準備してきた。  だから手に取るようにその実情が想像できる。  これは形式を整える芝居である。  破壊命令とは何か。  その内容は読売新聞の記事によれば、イージス艦を東シナ海と 太平洋、日本海に展開するとともに、地対空誘導弾(PAC3)を 沖縄県内に配備し、「2段構え」で備えることだという。  もし本当に北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射する危機が迫った 時には2段構えでも3段構えでもいいから万難を排してそれを防が なければならない。  そのために高い金を使って購入した迎撃ミサイルシステムだ。  国民の生命と安全を守るための破壊命令だ。  そのような破壊命令に何の疑問も異存もない。  しかし今回の破壊命令とは何にか。  その後に続く読売新聞の記事によるとこうだ。  「・・・ミサイル本体や部品などが落下する可能性がある場合には まずイージス艦上のスタンダード・ミサイル3(SM3)により大気圏 での破壊を試みる。撃ち漏らした場合は地上配備のPAC3と、2段階 で対応する・・・万が一に備え首都圏への配備も検討している・・・」  これは茶番だ。  発射直後の人工衛星(ミサイル)はすぐに打ちとさないと意味がない。  発射後時間がたてばたつほど打ち落とせなくなる。  しかし発射直後のミサイル本体が失敗して落下してくるなどという事を どうやって見極めてその後に撃ち落とせるというのか。  それが確認されないままにミサイル迎撃を発動して撃ち落としてしまえ ばそれは先制攻撃となる。北朝鮮との戦争を意味する。  そんなことを自衛隊が出来るというのか。  落下直前に撃ち落とすのはいい。  しかしそれは石垣島、宮古島、沖縄本島の射程数十キロの範囲でしかない。  首都圏への配備と言っても、どこに落ちてくるのかわからないのに、どう いう根拠でどこに何機配置するのか。  我々国民は今回発動される破壊命令の後の自衛隊の動きを注視しなければ ならない。  メディアはその事を詳細に国民に知らせる義務がある。  そうすればたちどころにわかるだろう。  これは無意味な形だけの破壊命令であることが。  安全保障会議を開いて仰々しく決定し、発動される今回の破壊命令とは 所詮その程度の矛盾に満ちたものでしかないのである。                                了   ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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