□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月16日第213号 ■ ========================================================= 米韓FTAはWTO違反だという声が聞かれない不思議 ======================================================== 米国と韓国の自由貿易協定(FTA)が15日に発効した。 それをめぐるわが国の報道は、これで日本が不利になるという ものばかりだ。 そのような報道が、「だから日本はTPPに乗り遅れるな」 と読者を誘導している事はあきらかだ。 読売新聞などはズバリ「日本はTPP参加で巻き返せ」(3月 16日社説)とまで書いている。 なぜ日本は米韓FTAで不利益をこうむるのか。 それは米韓が関税その他でこの二国間協定の外にある国を差別 するからだ。 これこそがGATT、WTOの原則である最恵国待遇、つまり 無差別自由化の精神に違反するものである。 FTAによって不利益をこうむる国はWTOに提訴して自国の 利益を守れるはずだ。 なぜそのような声がどこからも、一言も、出てこないのか。 GATT、WTOの無差別原則が揺らいだのは1992年に米国、 カナダ、メキシコの間で締結された北米自由貿易協定(NAFTA) あたりからだ。 同じ頃日本は豪州と共同してアジア太平洋経済協力会議(APEC) を提唱したが、APECはゆるやかな経済協力関係であり排他的と ならないで今日に至っている。 された。 あの頃から20年ほどたって、いまや保護主義が大手を振って 提唱されるようになった。 WTOは終わったのか。 そうではない。 来日中のラミーWTO事務局長がインタビューで語っている。 「(TPPやFTAなど、地域や二国間交渉が加速していること によって)自由貿易圏が分断されることがあってはならない」と釘を 刺している(3月16日読売)。 枝野経済産業大臣との会談では、WTOが進める自由貿易交渉へ もっと日本は関心を持つように次のとおり注文をつけている。 「日本はWTOというバスケットに卵を置いているが、他のバス ケットでも卵をゆでようとしている」、と。 日本はTPPやFTAに躍起になるのではなくWTOを通じた最恵 国待遇を原則とする本来の自由貿易交渉重視に立ち返るべきである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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