□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月15日第208号 ■ ========================================================= 内田樹神戸女学院大名誉教授が喝破した日米同盟の虚 ======================================================== これは日米同盟の将来にとって決定的に重要なことだから何度でも 繰り返すが、いま行なわれている米軍再編計画の見直し協議は、とても じゃないが外務・防衛の下っ端官僚による協議に任せっぱなしにして いてはいけない。 国民が衆人監視する形で、安保問題の専門家が議論に関与してすすめ なければならない。 きょう3月15日の読売新聞が報じている。 沖縄の米海兵隊の一部を岩国に移転したいと言い出した米国に対し、 日本側は岩国だけでなく、どこの国内移転でも応じられないと言った ため、それでは沖縄に残留すると米国が言い出しているという。 その一方で、おなじくきょう3月15日の朝日新聞は、米海兵隊の グアム移転の財政負担についての日本の分担を上積みしろと言って いるという。 これらの報道を通じてわかることは、日米安保協議なるものは、本当 の意味での安保協議ではなく、日本への負担押し付け交渉であり、その 負担押し付けをどうかわすかという不平等な政治折衝なのである。 この沖縄問題について、およそ安全保障政策は門外漢と思われる仏 現代思想が専門の内田樹教授が、見事に日米同盟の虚をついた疑問を 投げかけていた。 3月13日の朝日新聞「私の紙面批評」のなかで彼は要旨次のように 書いていた。 ・・・なぜ沖縄の基地問題は解決しないのか。それは米国が西太平洋 軍事戦略で沖縄の重要性を考えているのに対し、沖縄は生活実感の問題 として米軍基地の縮小・撤廃を望んでいるからだ。 しかし米国の西太平洋軍事戦略とは一体何なのだ。中国の脅威と、 朝鮮半島の有事に備えるとか、ロシアの領土的野心などというが、それ らの言葉が指し示す実際の地政学的状況は刻々と変化している。 しかしメディアも安保専門家も、その事をほとんど検証しない。論じ ることはない。 共和党の大統領候補者の一人であるロン・ポールは在外米軍基地の 全面的な撤収を公約に掲げ、その公約が米国内でかつてないほどの一定 の支持を得ている以上、日本のメディアは「アメリカはどういう条件が 整えば沖縄から出ていってもよい」と考えているのか、踏み込んだ取材 活動を行なってもよいのではないか。 日本政府は「沖縄の軍事基地の重要性は変わらない」と主張し続け、 メディアもそれに追随しているが、地政学上の大きな変化にもかかわら ずその重要性が変化しない軍事基地が存在するとすれば、それはロジカル には「地政学上まったく重要性のない基地」というほかはない。 このような知性の不満を指すときに「思考停止」という以外の言葉を 私は思いつかないのである・・・ そうなのだ。思考停止なのだ。 安保・外交の素人でさえ、いや素人であるからこそ、このような本質的 な日米同盟関係の虚が見抜けるのである。 この国の政策は、素人の目から見てそのすべてを根本的に見直す必要が ある。 メディアは政府・官僚と癒着するのではなく、素人の国民の目線に立って 本質的な問題をわかりやすく伝えなければいけない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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