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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

日米欧が中国をWTOに提訴したというニュースの着眼点
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年3月14日第205号 ■     =========================================================      日米欧が中国をWTOに提訴したというニュースの着眼点                                                              ========================================================  3月14日の各紙が一斉に大きく報道していた。  日米欧はレアアースの輸出規制を続ける中国をWTO違反である として提訴に踏み切った、と。  このニュースを知って、日本もついに中国に対して毅然とした対応 を取るようになったと感じるなら、かならずしもそれは正しくない。  このニュースの最大の着眼点は日米欧のどの国がこの提訴の主唱者 であるのかという事である。  ほとんどの新聞が日米欧を同列に並べている中で、この提訴の主導 国が米国であると明確に書いていたのが東京新聞であった。  「・・・外交筋によると、今回の提訴は大統領選を前に中国に対す る強硬姿勢をアピールしたい米政府が主導。日本とEUも足並みを そろえた・・・」、と。  しかもEUはすでに中国を提訴した実績がある。  すなわちEUは2009年に米国、メキシコと一緒になって中国の レアメタル(希少金属)輸出規制に対しWTOに提訴している。  しかしその時日本はこの提訴に加わらなかった。  日本はこれまで14件のWTO提訴を行なってきたが、今回初めて 中国への提訴に踏み切った(3月14日朝日)という。  その日本が今回米欧と一緒になって中国提訴の踏み切った背景に 何があったのか。  このわが国の中国提訴が総合的に見て国益に叶うものであれば問題 はない。  しかし日本と中国の関係は欧米と中国の関係よりもはるかに緊密 かつ歴史的な関係がある。  ビジネスライクな関係だけではすまない二国間関係がある。  訴訟に訴えて白黒つけることよりも、「互恵的戦略関係」に基づい て二国間の話し合いでの解決をめざすことが適切である場合がある。  外務省幹部は次のように述べている。  「ここで訴えなかったら、WTOルールがさらに軽視されかねない。 資源を持つ新興国が中国の真似をしないためにも訴える意味は大きい」 と(朝日)。  この言葉自体は正論である。  しかし、それが対米従属の外務官僚から発せ得られるところにうそ 臭さを感じ取る。  今度の日米欧による中国に対するWTO提訴は、もう一つの対米 従属による中国包囲網政策のあやうさがある。  もっとも日本外交が中国との正しい二国間外交を出来ないまま譲歩 を重ね、米国の力を借りなければ経済的権益を守れないというのなら、 何をかいわんやである。                           了                               ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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