□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月14日第204号 ■ ========================================================= これが在日米軍再編見直し協議の本当の姿だ! ======================================================== 玄葉外相が記者会見で在沖縄海兵隊のグアム移転計画の変更を 突如として発表したのは2月3日であった。 それは米側の一方的な計画変更通報から始まったから玄葉外相 は当惑顔で話し、その中味について何も語る頃はできなかった。 それから数日後の2月8日、今度は日米共同文書なるものが 鳴り物入りで発表された。 しかし、それはグアム移転計画変更の内容についての日米合意 文書ではなかった。 これから日米で協議して決めるという共同報道発表文書であった。 この在日米軍再編の見直しをめぐる迷走ぶりについて、私はこの メルマガで何度も書いてきた。 わけのわからないままに日本は振り回されている、と。 それから一ヶ月以上がたち、野田首相の5月訪米までに合意を 見なければならないから、日米審議官協議は大車輪で行なわれている はずなのに一切その交渉内容について報道がない。 そう思っていたら3月13日の朝日が驚くべき記事を掲載した。 3月12日(日本時間13日)からワシントンで始まる第二回 外務・防衛審議官協議について次のように報じた。 すなわちこれまでの協議は米国主導で進み、米側の沖縄海兵隊移転 計画ばかりが議題になって、日本側が求める沖縄の負担軽減、つまり 米軍施設の前倒し返還やグアム移転費の日本側負担削減の話がまったく できていないというのだ。 それだけではない。私がこの朝日新聞の記事で腰を抜かさんばかり に驚いたのは次のくだりである。 米側が今回提示した修正案、つまり司令部と遠征部隊は沖縄に残す が歩兵・砲兵からなる海兵師団を海外に移転する案は、2006年に 日米が合意した米軍再編案、すなわち司令部は移転するが主力戦闘部隊 を沖縄に残す案とは大きく異なる。 しかし、2006年の合意時には、大半の戦闘部隊を沖縄に残すから 日本の抑止力維持になると説明してきたので、今回の米側の変更では 整合性がとれない(防衛省幹部)。 その整合性が取れない事を国内的につじつまを合わせるために、 「海兵隊が減っても太平洋全体で(中国に)対抗する方が日本の抑止 力は向上すると説明できるように吟味している」(外務省幹部)状況 であるという。 つまり安保政策の専門である防衛官僚が説明できないと言っている のに、安保政策に素人の対米従属の外務官僚が、国民に対するウソの 言い訳を必死で考えているのだ。 安全保障政策については米国の言いなりになり、米国に振り回され 、その米国の安保政策の変更の真意を米国に質すことなく、国民に 対する説明振りをどうすればいいか、そればかりに腐心している のである。 これが日米協議の姿である。 ここでメルマガを書くのを止めようと思っていたのだが、きょう 3月14日の日経新聞が次のように報じていたので付加えたい。 日米協議では、在沖縄海兵隊の一部を岩国に移転させたいという 米側要求に対し日本側が難色を示したため、米国はほかの国内移転先 を求めてきたと。 その理由がふるっている。 なぜ米国が在沖縄海兵隊の分散移転に固執するのか。その理由は 中国が沖縄の米軍基地をミサイルの射程圏内に入れ始めたので、「仮に、 中国からの攻撃を受けた場合、一撃で大打撃を受けかねない」(政府筋) から危険分散する事にあるという。 日本を守るはずの在日米軍が逆に日本を危険に陥れている動かぬ証拠だ。 日本政府はもっと真面目に日本の安全保障を考えたほうがいい。 国民に日米同盟の実体を正直に話した方がいい。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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