□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月9日第194号 ■ ========================================================= 野田首相の対プーチン外交に見る日本の外交の無能さ ======================================================== 野田首相の対プーチン外交を見ていると、野田首相にまともな外交 ができるのかと疑わざるを得ない。 それを支える外務官僚がまともな仕事をしているとは思えない。 プーチン首相が3月4日に大統領選挙に勝った後、野田首相が真っ 先に行なった事は5日のプーチン大統領との電話会談だ。 各紙の報じるところによれば、柔道用語の「はじめ」、とか「引き 分け」という言葉を引用して北方領土問題打開について意欲を示した という。 これはあきらかに朝日新聞のプーチンインタビュー報道に基づいた 発言である。 日ロ関係全体を見渡した周到な発言ではない。 しかも北方領土問題についても政府の確かな情報に基づいた打開の 展望がある発言ではない。 それどころか野田首相はその後の国会答弁で、あくまでも4島返還 を求めるという原則論に固執している。 何の戦略も打開の見通しもないままにプーチン大統領と電話挨拶し ただけなのだ。 これは外交ではない。外交をしている振りをしているだけだ。 ひるがえって米国のプーチン外交はどうか。 これがこのメルマガで言いたいことだ。 3月9日の日経新聞「プーチン政権再び 下」という特集記事に 米国の対プーチン外交を象徴する興味ある記事を見つけた。 その記事は米国の戦略を次のように書いている。 すなわちホワイトハウスはロシア大統領選の結果についてまだ声明 ひとつ出していないというのだ。「両国は共通の課題に対処するため、 協力してきたし、これからも協力する」という国務省ヌランド報道官 の5日の記者会見での発言が、オバマ政権の唯一の反応だ、という。 その一方で、駐ロシア米国大使を一時帰国させロシア情勢を分析中だ という。 米国は今度の大統領選挙の結果について批判的だ(3月7日読売)。 新欧米だったメドベージェフ大統領からへの転換を警戒している。 ロシアのアサド政権支持について米国は厳しくロシアに迫っている。 「(プーチン大統領の)正式就任前からわざわざ悪口を言う必要は ない」、 「(5月にワシントンで開くサミットで)どうせ会談するのだから それまでは静観すればよい」、という周到な戦略がある、と日経新聞 のその記事は書いている。 ちなみにその日経の記事は中国の対ロシア政策についても触れて いる。 都市部に拡がったプーチン批判デモをどう抑え込むのか。インター ネットを通じた反体制運動は中国でも起きうる話だけにその動向を 注視しているという。 こういう記事を読むにつけわが国の対ロ外交のノー天気ぶりを 思い知らされる。 口を開けば北方領土問題ばかりである。 しかも新しい情報も展望も何もない中での、一人相撲である。 こんな外交など誰でもできるということだ。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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