□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月9日第193号 ■ ========================================================= 米国がイラン開戦に踏み切れない一つの理由 ======================================================== 私は3月7日のメルマガ第185号で、イラン開戦を煽る共和党 候補者を「戦争の太鼓を叩く連中だ」と呼んで一蹴したオバマ大統領 に一縷の希望を抱いたと書いた。 このイラン開戦に慎重な姿勢は、もちろんオバマ大統領自身の協調 的外交政策からくるものであろう。 しかしたとえブッシュ大統領であったとしてもイラン開戦に踏み切 れるだろうか。 オバマ大統領を弱腰と決め付ける共和党候補者は、それを選挙演説 として言っているのではなく、自分が大統領になったらイラン攻撃を 行なうという公約として言っているのだろうか。 おそらくそうではないだろう。 イランを正しく知れば知るほど、イラン開戦はどの国も勝者に なれない不毛な開戦であることがわかる。 そう思わせる記事を私は3月9日の朝日新聞に見つけた。 東京外国大学の松永准教授がインタビューに答えて要旨次のように 言っている。 イランと言う国はイスラム法学者たちによって選ばれる最高指導者 (いまはハメネイ師)がすべての権限を握っている。今度の国会議員 選で大統領派と最高指導者派が競い合ったというのは間違いだ。 大統領派も最高指導者に忠誠を誓わないと選挙には出られない仕組み だ。国会議員選挙の結果が核問題に影響することはない。 原子力の平和利用を推進する事については国内で完全な合意があり ハメネイ師とアフマディネジャド大統領との間で意見の不一致など ありない(アフマディネジャド大統領がハメネイ師と異なった意見を 持つことは許されない)。 国際社会が問題としているのは核開発の軍事転用だがこれは最高 指導者も大統領も「しない」と言っている。イランは国策の最優先策 として10年以上核開発を進めてきた。イランが妥協してウラン濃縮 を止めるのはイラン体制が根本的に頓挫することに等しく、だから 国際社会の制裁が強められてもイランは折れない。 このままでは基本的には核問題の打開策はない。軍事的な介入が 取り沙汰されるが、それは国際社会にとってもイランにとっても得策 ではない。国際社会が知恵を絞る必要がある・・・ 見事な解説だ。これ以上のわかりやすいものはない。 問題は国際的知恵とは何かということだ。 それが誰にもわからない。 松永准享受もそれは書いてはいない。 しかし一つだけ明確なのはそれが軍事的介入ではないということだ。 オバマ大統領が模索しているのもまさしくそれだ。 イランが応えようとしていることもまさしくそれである。 問題はイスラエルが軍事的介入しかないと考える国である という事である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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