□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月8日第190号 ■ ========================================================= 遅すぎた湯浅誠の公職退任 ======================================================== 社会活動家の湯浅誠が、「反貧困 -『すべり台社会』からの 脱出」(岩波新書)を引っさげて日本の政治に登場したのは確か 2008年頃だったと記憶している。 その年の暮れには『年越し派遣村』の「村長」として政府に重い 腰を上げさせ貧困者たちを救った。 私が湯浅誠を新しい形の政治家になる可能性があると期待した のも丁度その頃だ。 その私が湯浅誠に失望したのは、菅直人に請われて2010年に 内閣参与として政府内に入った時からだ。 菅直人の広告塔として使われることは明らかだったからだ。 案の定彼は何も出来ずにいつしか私の記憶から消えてしまった。 その彼が公職を退任するという。 それを藤村修官房長官が7日の記者会見で発表したという小さな 記事がきょう3月8日の各紙にのっていた。 それを見て私は思った。 まだ内閣府参与などというものを引き受けていたのか、と。 彼の言動は官僚のそれと正反対のものだった。 だから私はそんな彼を評価したのだ。 その彼が反権力の政治家となって政府と対峙し、政府に政策を迫る。 それが本来の姿であるのに、政府内部に入って官僚たちと仕事を する。 彼に思い通りの仕事が出来るはずがない。 水と油の官僚たちと上手くいかず、官僚たちから排除され、失意の うちに途中で仕事を投げ出すのがオチだ。 湯浅誠の退任の弁を知ってさらに驚いた。 「力を入れてきたことの見通しが立ち、あとは事務的に進める案件 になった」と退任を申し入れたという。 そんな事があるはずがない。 自らを偽り、心にもない弁を弄して辞める湯浅誠に私は二重の失望 を抱かざるを得ないのである。 それとも彼は本当に官僚たちと仲良くなって力を入れた仕事を 成し遂げたのだろうか。 その姿は権力に取り込まれた菅直人や辻元清美などとダブって見える。 湯浅誠の公職退任を報じるきょうの各紙は、労働者派遣法改正案が 成立する事を報じていた。 製造業派遣の原則禁止を謳う当初案は企業経営への悪影響を懸念する 自公の反発で見事に削除されて成立したのだ。 私が湯浅誠に期待することはもはや二度とないだろう。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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