□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年3月9日第191号 ■ ========================================================= この国の悪業のすべてが凝縮しているAIJ投資顧問問題 ======================================================== AIJ投資顧問が年金資産約2000億円を消失させた事件は、 この国が抱えている悪業のすべてを凝縮しているような事件だ。 たとえば、年金資金の運用を投機性の高い金融商品で行なう 事を認める(それどころか積極的に進める)ような年金制度が 果たして正しいのかという問題がある。 もしこの国の年金制度が確かなものであれば財政的に弱小な 中小企業がその年金財源をリスクの高い金融商品に委ねるよう なことはしなかったはずだ。 たとえば年金運用投資顧問会社の実体だ。AIJ投資顧問の 損失は氷山の一角であることが明らかになった。多くの天下りを 受け入れて杜撰な運営が放置されている投資顧問会社は他にも あまたある。 そこに群がるシロアリが杜撰な運営をし、儲けを私物化して 破綻に拍車をかけたこともこの国のお決まりの病巣だ。 そしてきょう3月9日の朝日新聞の大スクープである。 朝日新聞は報じている。AIJの資金運用の実態が海外の証券 監視当局や年金の専門誌などから疑問視され、そのことがはやく から日本の証券取引等監視委員会や金融庁に情報提供されていた にもかかわらず対応してこなかったという。 金融庁はいうまでもなく、証券取引等監視委員会もまた財務官僚 の天下り機関という事実上の政府機関だ。政府の責任は大きい。 オリンパス事件でも明らかなように、外国人からみればこの国で 行なわれていることは国際基準から見ておかしいことが多い。 その事を海外から指摘されてもすぐに対応しない。 その怠慢、行動の遅さはもちろん問題であるが、もっと問題な のは、それに手を打とうすれば悪事がばれる、利権を手放すことに なる、だから手を打とうとしないということだ。その結果の破綻で ある。 オリンパスのような私企業の場合は自己責任で済ますことが できるし、責任者は罰せられる。 しかし年金問題は公的制度からくる問題だ。その破綻が国民に 及ぼす影響ははかり知れない。 そして権力者たちは誰も責任を取らない。 今の日本のすべての悪業が凝縮した事件であるという理由がそこ にあるというゆえんである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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