Foomii(フーミー)

天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

日米に中国国防費の強化や不透明さを非難する資格はない
無料記事

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年3月6日第184号 ■     =========================================================       日米に中国国防費の強化や不透明さを非難する資格はない                                                              ========================================================  私はいたずらに米国を非難するものでもなければ中国を擁護する ものでもない。  米国にいいところがあればそれを評価し、中国の間違いはそれを 指摘する。  そう前置きした上でこれだけは言っておきたい。  かねてから私が言いたかったことだ。  日米に中国国防費の強化や不透明さをとやかく言う資格はない。  3月5日の各紙は一斉に報じていた。  中国が2012年の国防予算が昨年比11.2%増となる事を 発表したことについて、軍拡路線を加速している、実体はもっと 大きいに違いない、不透明性が残る、と。  これに対し米国が懸念を表明し、日本がその批判に追従する。  それをメディアがそのまま書き立てる。  しかし日米両国に中国の軍拡を非難し、その発表の不透明さを とやかく言う資格はあるのか。  米国は自他ともに認める世界最大の軍事大国だ。  その国防予算は世界の国防予算のおよそ半分を占める。  その米国がどうして中国の国防費増額をとやかく言えるのか。  いまでこそ米国は財政赤字で国防費を削減せざるをえなくなった。  しかし、だからといって他国の国防費削減を求めるならそれは 身勝手というものだ。  かつてネオコンの一人であるロバート・ケーガンがこううそぶい たことがあった。米国がイラク攻撃を行なう時だ。  軍事力ではなく国際協調で問題を解決すべきだという欧州を一蹴 した時の言葉だ。  彼ら(欧州)だってその軍事力を誇っていた帝国主義の時代が あった。その時はすべて軍事力で物事を決めた。今になって話し合 いによる解決を言いだすのは軍事力が弱くなった証拠だ。世界が 束になってかかってきても負けない軍事大国になった米国が軍事力 で問題を解決しようとすることは当然だ、と。  私が中国ならその言葉をそっくり米国に投げ返すだろう。  赤字予算で軍事力の増強ができなくなったからと言って他国の 軍事費増強をやめろというのはお門違いだ、と。  それに不透明というが、軍事とは他国に対して不透明にしていな ければならないものではないのか。軍事機密は当然ではないのか。  軍事力の中味やその意図を透明にして手の内を明かす国がどこに あるというのか。  米国自身がそれを率先して行なうのか。  だからといって私は中国の軍事力増強を正しいことだとは思わ ない。そんな事をするよりも国民の生活を豊にする事に専念したら どうかと思う。  そしてその事を日本は中国に進言すべきだと思う。  しかしそれには大前提がある。  日本が米国との軍事同盟と決別し、憲法9条を世界に掲げた平和 国家になることだ。  米国に従属して中国包囲網の片棒を担いでいるような今の日本が、 中国の国防予算強化や不透明性をあげつらっても、誰に向かって 言ってるんだと一蹴されて終わりだ。  しかし日本が憲法9条を掲げ、国防費増強などという馬鹿なこと は止めろ、軍事的覇権を求めるな、と世界の目の前で迫るなら、 中国はぐうの音も出ないだろう。  すべては日本の基本姿勢の問題である。  憲法9条は最強の安全保障政策だと主張する理由がそこにある。                                                        了   ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

2009年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年11月19日に利用を開始した場合、2025年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する